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きっと想像した以上に
 この12月の半ばから2週間余り、愛媛大学の修士課程に在籍中のインドネシアからの留学生Pさんが、かんまん部屋に滞在していました。研究成果を翌年の2月中に提出する必要があるそうで、無茶々園を対象としていることもあり、僕たちを頼ってきてくれたわけです。

 彼女と初めて会ったのは8月終わり頃のこと。かねてより無茶々園を取り上げたいと思っていた彼女は、別プログラムで明浜を訪れている、愛媛大学のインドネシア人留学生グループの課外活動に加わって、明浜までやってきました。そして先輩のAくんのアドバイスを頼りに、かんまん部屋を探し当ててやってきたのです。そのアドバイスとは、「上原さん夫妻が、君をきっと助けてくれる」だったとか。
 そのときも何人かへのインタビュー調査の通訳を(わ)が担い、冬に再度現地調査をおこなう予定であること、その際は拠点としてかんまん部屋を利用してもらうこと、僕たちができる限りの手助けをすることなどを約束して別れました。


みんなでハラールのバリ料理を食べよう


 その約束通りの再来場。初日は、専攻は別ですが、僚友のインドネシア人留学生Dさんも一緒で、夕食には二人でDさん出身地のバリ料理を振る舞ってくれました。せっかくなので、いつも通りOさん家族にも声をかけます。
 僕たちにとっては初めてのハラール。それをかんまん部屋でいただけるなんて、なんて幸運なんでしょう。Dさんは翌日まで滞在し、なんち屋の収穫も手伝ってくれました。


ポンカン収穫に、さあ出発!


 さてPさんの調査の方はどうでしょうか。今回はどんなことを調べたいのか、彼女が持っている資料と情報をもとに、確認していきます。すると、まあ、大変。とても現地調査をおこなえる段階ではありません。彼女は夏からこれまでの期間、何をしていたのでしょう。というより、彼女の指導教官や愛媛大学の受け入れ体制は、なんという体たらくなのでしょう。放任というより、まるで打ち棄て。あまりに無責任、これでは彼女の方が可哀そうだ。
 いまさらそんなことを嘆いても始まりません。やれるだけのことをやらなければ。彼女の関心事に基づいて、持っている資料の意味を丁寧に説明していきます。研究調査の枠組みを付きっきりで整理し直し、成り行き上、農家へのインタビューの段取りもおこないます。もちろん、通訳も。かつて無茶々園事務局に勤務していた経験から、どんなデータが取得できるかをアドバイスし、取得までの手続きも補助します。そして無茶々園事務局が年末休みに入る直前に、ようやくデータを手に入れることができました。それも、膨大なデータを見直して、徹夜で分かりやすく加工してあげた上で手渡しました。これも昔取った杵柄というやつでしょうか、文字通り、出来る限りのことをしたつもりです。
 これに加え、この2週間余りのあいだは、世代の違い、文化の違い、宗教の違い、それらに伴う生活の違い・・・、外国人と多く交流してきた僕たちでも戸惑う日々。次々と現れてくるギャップのひとつ一つを確認し合い、原因を理解し、お互いの歩み方を考えていきます。ギャップを解消するでも埋めるでもなく、慣れていくためのマナーを一緒に作り上げてきました。

 そしてとうとうこの日、データの分析と執筆に本格的に取り掛かるべく、彼女は松山へ戻っていきます。これだけのことがあったのに、不思議と彼女とのあいだに、気まずい空気が流れることはありませんでした。それよりもむしろ、この日を迎えた、この充足感はなんでしょう。松山への高速バスの停留所まで送った後には、ほっとした気持ちよりも、寂しささえ感じてしまいます。
 帰って宿帳を開いてみると、彼女がこの時間をどう捉えて過ごしてきたかを垣間見ることができます。僕たちのまちつくりとは、こういうものなのだと、つくづく思い返します。ここで表れてくるもの、それを目の当たりにして大きくなっていく(う)(す)(ま)の内には、どんなものが育まれていることでしょう。このうちの誰かが、彼女を頼ってインドネシアに行くこともあるのかもしれません。そうなれば素敵ですね。


一緒にクリスマスの夜を過ごす。
「クリスマスは、、、祝ったことないわ」と彼女。



一番の寒気が流れ込んで、明浜でもたくさん雪が降りました


 今年もいろんなことがありました。「このあいだの味噌作りもそうだけど、かんまん部屋がそれらしくなってきたね」、(わ)と二人、少し広くなった居間のこたつに足を突っ込んで、年の瀬の紡年会を開きます。


(ゆ)
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