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生きている場所(大いに結構 その8)
 この日の夜はIさんも、Hさん宅で3人でした。

 呑みながら、ムツカシイ話がひとしきり済んで、このあいだの秋祭りの話になりました。僕は祖母が亡くなったばかりで、それで、この年も牛鬼組に入ることになっていたものの、頭(カシラ)に事情を説明して、はずれることにしました。
 何の「役」も担わずに、外から祭りを眺めるというのは、実は初めてのこと。それだけに、興味深かった。(う)や(す)が祭りに関心を寄せていることも、なんだか嬉しいことで、アレはああなってるんだよ、アンナ時はこっちへ向かってくるから気をつけろ、これまでの経験をもとに説明してやります。自分たちはこんな面白い場を作っていたんだなぁ。ちょっと得意げだったかもしれません。


(す)と(う)を連れて、牛鬼を眺める僕


 とはいえ、自分の意思で決めた“喪中”ですから、控えめに過さなければ。わきまえていたつもりでしたが、午前中の祭典が済んで、午後の渡御の前の、牛鬼がゴネる姿(「ナゴリ」と呼ばれる動き)を目の当たりにしたところで、ジーン、ときてしまった。それからはすっかり祭りモードで、子どもの面倒も放ったらかしにして、オカエリ(御神体の宮入り)まで、ずっと牛鬼を追いかけ回していました。
 反省、反省、振り返ってそんな話をしたら、「オレはのう、うえはら君、祭りを自慢しようって気は、無ぇのよ」「オラも、うちの祭りはすごいんだゾ! なんて言ったことは無ぇな」「どこか他所で知り合うたらの、気が合うた奴でものぉ、『まあ、祭りにでも来ないや』とは言うけどのぉ」「ただただ、祭りに対する思いだけなんよ」「こっから先も無ぇなぁ」、二人で盛り上がり始めた。


今年のお客ごっこも楽しかった


 その様子を見て、ここの祭りは、“残った”祭りなんだな、と思いました。“残した”んじゃないんだ。
 そういった年月を重ねずに大きくなった僕は、生え抜きで、僕よりずっと年輩のこの二人の境地を、きっと分かることはないのでしょう。でも、そのやり取りを、特等の升席でほろ酔いながら眺める、そんな境遇もまた、悪くない。


(ゆ)
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