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シシ年 その2
 「食育」という言葉と向き合うことがあります。
 英語では『Food education』と言うらしいのですが、国内でもカリキュラムとして取り入れている学校もあり、特別講師のようなかたちで、授業を受け持ったこともあります。生産者、あるいは生産団体にとっては、自分たちをアピールする機会と捉えることもできるし、相手の反応や質疑のやり取りから、自分たちの取り組みの改善につなげることもできます。向こう側にある“社会”へとつながる、自分たちの壁を切り取る「窓」、僕たちにとって食育とは、そういうものかもしれません。

 さてこの日、自分で仕掛けたくくり罠に、初めてイノシシが掛かりました。成獣になったばかりというような、まだ小さい奴です。狙っていたのはもっと大きい、おそらくこのイノシシの親の方だったのですが、これまで空弾き(罠のセンサーに反応したワイヤーが、上手く足に掛からず、逃げられてしまうこと)ばかりで、その中で自分なりに反省を続けた上での成果だったので、これには興奮しました。嬉しくて、Hさんと(わ)にすぐ電話で報告しました。
 しかしそんな喜びもつかの間。最期の仕留めも血抜きも、これまで何度も見てきたのに、思うようにはいきません。見直してみると、罠のかかり方もイマイチ。
 最初の獲物だから、これは全部一人でやり切ってやろうと解体を始めると、やはり途中で上手くいかなくなります。戸惑い慌て、オロオロする心を落ち着かせて、急ぎ足でマサヤンハウスに助けを求めに行きました。結局仲の良い2人がすぐ駆けつけてくれて、あっという間に仕上げてくれました。



 思えば、これまでの人生で口にしてきた肉のすべてが、こういう過程を踏んできているのかと思うと、その衝撃にあらためてクラクラしてきます。
 もっと経験を積まなければならない。この地域でイノシシに関すれば、狩猟と有害鳥獣駆除は区別しがたいところがありますが、むやみに罠を仕掛けて獲れたとしても、これじゃあいけない。けれど、これは避けて通れないのだから、上手くなりたい。
 ああ、いま僕自身が、食育の真っただ中。自分の頼りなさに愕然としつつ、せめてこの日とれたこの肉を、大事にいただこうと思います。


(ゆ)
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