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過敏なひと
 化学物質過敏症と電磁波過敏症、ともに発症しているという人に出会いました。
 ひょんなことから知り合って、Eメールなどでのやり取りはしていたのですが、とうとう直接会えることになりました。僕たちの住む明浜へ、わざわざ遠方からやって来てくれると言います。

 都合のついた(わ)も一緒に、車で迎えに行きました。だからというわけではありませんが、車中、おしゃべりが絶えません。
 やはり僕たちとは全く異なるカラダをしている。全方向に意識がある。「そっちの方に近づいていってるなぁとか、感じちゃうんですよ。多分、こっちに電波塔が。あ、ほら」、と言われて振り向くと、確かに。(わ)と驚いていると、「ある意味、超能力ですよね。なんか、犯罪調査とかに使えないかなぁ、なんてよく考えちゃう」、なんて言われて、大笑い。

 明浜に着いて、時間の都合もあり、さっそくいつも通りの農道ツアーに出かけます。みかん山を案内しながら、作業に来ている農家の軽トラが、あまり見当たらないのに、ちょっと安心。「何日か前まで、農薬散布する軽トラを見かけたんだけど、最近は落ち着いています。大丈夫かな?」と話しかけると、「そうですか」と言って、少し顔がこわばりました。そのすぐ先のカーブを曲がったところで、「あっ・・・」とつぶやいて、車のウィンドウを一気に締め上げました。やっぱり、残って、いるもんだな・・・。
 かんまん部屋では、パソコンも電源を落とし、Wi-Fiもコンセントをはずしておきました。もちろん携帯電源は、迎えに行った時からOFFのままです。コーヒーとお土産のお茶菓子で、楽しい時間を過ごしました。

 事態が急変したのは夕食のときのこと。共通の知り合い(僕にとっては友人)にも引き合わせるために、宇和島で外食することになりました。普段は玄米菜食なのだそうですが、お出かけのとき、特に人と会うときにはこだわりはない、と明るく言うので、気軽に郷土料理の食べられるお店に入りました。
 問題は食べ物ではなかったのです。早めの時間に入店したので最初は大丈夫でしたが、徐々にお客さんが増えて、いつの間にか満杯になっていました。みんな、すぐ背にしている隣席でも、スマホや携帯が使っていたのでしょう。
 僕たちは食べ終わっていたのですが、おしゃべりしている顔つきがみるみる蒼白になっていき、「もう、出ましょう」と立ち上がった時にはフラフラ。会計のときには、あわやレジ台に倒れ込んでしまいそうで、しばらく、その場から身動きがとれません。

 電磁波過敏症はそれのみでなく、発症してから物理的刺激全般に敏感にる。僕がこのところ関心を向けている、巨大風車からも発せられる低周波音や、逆に高周波音にも反応し、体調不良になると言います。
 自分が大丈夫だから、問題にしない。それもまた一理だけど、それはいつか、もっと複雑で強力な締め付けを、環境や社会に生み出すのでしょう。この人は、自然と身体が反応してしまうばかりでなく、社会にも、意識を全方向へ向けるべく動き出している。その姿に素直に、敬意を抱きます。

 僕は、いままで何をやってきたんだろう。うまく言えませんが、この人と別れてからの帰り道は、そんなやるせない気分で一杯でした。


(ゆ)
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