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スケッチは授業になるのか
 コルカタに、Shikshamitraという学校があります。学校のすぐ近くのスラムに住む子どもたちを対象にしている、SwanirvarというNGOの取り組みですが、ここで友人が美術の授業を担当していて、そのアシスタントとして何度か授業に参加したことがあります
 コルカタの学校としては珍しく、子どもの創造性に重きを置く学校です。ここを卒業した子の中には、進学した先でワークショップを任されてしまうこともあるのだとか。僕としては行くのが楽しみな場所です。

 先日、この友人に「スケッチの授業をしたいので、特別講師をしてほしい」という依頼されました。絵を描くことを習ったこともないし、自分自身としても、まだどうしたらよいのか分からないことだらけなのに教えるなんてとんでもない、とは思いつつ、コルカタのスケッチをこれだけとっている人間はそういないだろうという自負もあり、またこの学校に行くのが楽しみでもあり、結局引き受けてしまいました。というわけで、この日まで3週に渡って授業を受け持ちました。
 最初の2週は教室内でのレクチャー。僕がスケッチをとるときに考えていることを簡単に説明し、スケッチブックの絵を実際に見せたり、子どもの目の前で描いてみたり、またモデルになってみたり、少し体を動かす体操などもやってみました。最後の日は3つのグループに分かれ、とうとう学校の付近へ繰り出し、小道の様子や外で働く人々などをスケッチさせました。

 この学校の魅力的なところの一つは、ここを卒業した子が、今度は下の学年の学習のために、自発的に学校に来てアシスタントをしているところ。すっかりお姉さん気質で落ち着きがあります。この子らは英語もだいぶ解するので、僕のめちゃくちゃなベンガル語と英語交じりの説明も、ほかの大人の先生の助けを介さずに、うまく通訳してくれます。
 また、Shikshamitraでは、学校周辺の地域学習のようなものもおこなっていて、子どもたち自身に歴史を聞き書きさせたりしています。さらにもともとこの付近で育っているこの子たちですから、だから僕には見えないいろんなものが見えてしまっています。それが面白くも面白くなくもあるのですが、彼らが描いた絵にはそれがよく表れていて、楽しかった。中には「これはまさに『スケッチ』じゃないか!」と驚かされるようなものもあり、刺激的でした。
 彼らの中にわずかでも、何かを見て、描く、ということを続けるような人がいればとても嬉しいですが、そこまで責任を持てる授業が出来たかは甚だ疑問ですし、そういった期待それ自体が邪念かもしれません。何はともあれ、僕は愉しかった!

 僕の授業でこの日の学校はおしまい。描きあげた子どもらが帰っていきます。その際「ユウキサン アリガトゴザイマシタ」と言って帰っていく状況は、トホホとは思いつつも、なんだか感慨深い。そして彼らがプレ職業訓練で仕上げたお土産まで頂いて、とても嬉しかった。
 お土産のノートには、扉頁にメッセージ付き。それを見ると、今まで「ユウキサン」と呼ばれていたのだと思っていたのですが、実は「Yuki sir」だったようです。これにまたトホホ。いや、そんなことはどうでもいい。ありがとう。出来れば、(う)と(わ)も連れて、一度遊びに行きたいです。


(ゆ)
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