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久百々へ ~「しあわせみかん山」編
 高知県に「しあわせみかん山」というNPOが運営する柑橘園があります。無肥料で、自然栽培を続けてきています。

 果樹の自然栽培では、木村秋則さんがリンゴ栽培で有名ですが、彼に関する著作にもあるように、独特の剪定をおこなうことでも良く知られており、どんな剪定なのか、ずっと興味を持っていました。想像は膨らみますが、けれど重要な技術ですので、実践した樹を見て、その理屈や経営計画まで踏まえないではいけません。
 その木村さんが、しあわせみかん山に剪定などの技術指導に来ていたとのこと。またかねてより、果樹自然栽培の現場をできるだけ多く見たいと思っていたところ。久百々からはずいぶんありますが、足を運べない距離ではありません。この機会に見学を申込み、別ルートで訪問することにしました。

 合流したNPO代表のKさんと、車2台連なって、みかん山へ向かいます。不慣れな往路は長く感じる。そろそろ着かないかな、そわそわし始めた頃、窓の向こうから遠目に飛び込んできた、異風の柑橘園。思ったとおり、これが“しあわせみかん山”でした。
 作業小屋の机に向かい合って座って、NPO設立までの経緯や普段の作業段取り、木村さんの話の内容、これまでの実験的な取り組みの記録、今後の方針など、いろいろ話を聞きます。自分はこんな考えを持っている、実践してみてこんな傾向が見えてきた、こうしていきたい、お互いに意見交換をしていきます。
 時間はあっという間に流れました。木村さんの指導内容も、大変興味深いものでした。あたり前と言えばあたり前のことの積み重ね、けれどそれをやり切るのは決して容易ではなさそうです。段階を追って、愛着を持って、樹と園地と向き合っていくことが大切なのだろうと思います。

 Kさんも問題意識を持っていましたが、自然栽培に取り組もうとする人にとって、情報そのものや、意見交換をおこなう場が極めて少ないことは、大きな課題と言えそうです。迷ったとき、上手くいかないとき、不安なとき、そもそも周囲に邪険にされることが多い上、それを一人で抱え込むのは、とてもしんどいことでしょう。それぞれがバラバラに、実践的に研究を進めている現状は、何とかしたいものです。それにしても、実際に取り組んでいる人との会話が、これほど楽しいとは思いませんでした。
 わざわざ遠回りして、訪問してきてよかった。しあわせみかん山、こんなストレートな表現にハッとさせられ、そんな気持ちでみかん作りに励むことに、新鮮な憧れを覚えます。久百々への長い道のりは、この日のことを頭の中で繰り返し、ああ、あれやらなきゃ、これ調べなきゃ、次々と考えが及んで、思いのほか短いものでした。


(ゆ)
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