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虹のダンス
 この日はとても寒い日でした。
 山の方から北風が吹いて、ずっとジャンパーを脱ぐことができません。昼になっても日陰になってしまう場所では凍えるようでした。

 昼下がりからはらはらと雨が降ってきました。
 山の上の方の園地で摘果と秋芽を切り取る作業をしていたのですが、こんな日に濡れたら大変と、すぐさま軽トラックの中に逃げ込んで、空を見上げながら待機します。
 いかにもお天気雨といった感じで、ところどころ青い空も見えて、辺りはとても明るい。でもなかなか止まず、ときには強くなりさえもするので、とうとう諦めて引き上げました。しかし下の方に着く頃には、雨はほとんどなくなっていました。
 こりゃもったいないと、合羽を取り出してまた出かけます。しかしさきほどの園地に近づくと、やはり雨はそのままです。たかがこれだけの標高差で、こんなに天気が異なるものなんですね。

 こんなに離れた園地までせっかく戻ってきたので、合羽もあるし、着込んでまた仕事を始めました。相変わらず雨が時折落ちてきて、普通の軍手をつけているだけの手先にしみて、辛くなってきます。もうやめようか、もうやめようかと思いつつ、切の良いこの段まで仕上げてしまおうと決心して空を見上げると、向こうの青空に虹が出ていました。
 きれいでした。ああ、好いこともあるものだと少しの間見とれてまた仕事にかかります。また嫌になって見上げると、今度はもっと大きな虹が出ていました。出ては消え、出ては消え、大きさや向きを次々と変えているようです。虹のダンスだ。
 ようやく仕事を終えて山を下りるときにも、虹はまだ形を変えてありました。真珠の筏から飛び出したものは二重になって、一方はやがて反対向きに飛び出します。山を降りきるまでの間にも、また形を変えました。


 写真は次の日のもの。雨は結局この日の未明まで降ったようです。急に晴れて、朝陽と上手く時間が重なったのか、この集落全体が真っ赤に染まりました。





 数分後にはみかん山が黄色く染まり、輝いていました。また虹が出ています。今度はみかん山からみかん山まで、大きな橋を架けています。


(ゆ)
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