焼畑文化プロジェクト
山北町での火入れ準備作業のあと、昨年焼いた山畑を視察させてもらった

(山北町での火入れ準備作業のあと、昨年焼いた山畑を視察させてもらった)


焼畑そのものの復活も含めた実践的な取り組みを通じて、近代以前にはあたり前に流れていた時間感覚や生活文化を見出し、地域づくりに反映させていこうと、これを『焼畑文化プロジェクト(仮)』と称して動き始めています。

前職の上流研スタッフとして活動していた中でのこと。2017年の僕の入社までに蓄積されていた、地域資源や文化などに関する膨大な情報を、テーマごとに整理し直す仕事に力を入れていました。もちろん、その他の仕事や日常も大切に、その中で得られた、たくさんの町民からのいろいろな話も加味し、整理を進めてきた情報群を自分の生活実感から振り返ってみると、近代の中で、山村というのは都市に遅れているのではなく、むしろ都市化とは違う道を歩んできたのだな、と思うようになりました。都市化とはある意味、ブラックボックス化を進めることとも言えると思うのですが、山の暮らしでは、身の回りの手の届く範囲で成立させる要素が大きい。その意味で〝自律性が高い〟暮らしが維持されていると思うのです。
そう気づくと、急峻な山あいによって閉ざされた印象を抱かれがちな山の村々が、意外なほど開放的で外部地域とつながってきた歴史や、斜面農業の有効性であったり、山の食文化の豊かさと強靭さであったり、細々とでも引き継がれてきた民俗風習や伝承芸能といったものが、どれも愛おしく感じられるようになりました。その魅力には、基層に何があるのだろう? さらに調査と思考を重ね巡らし、『焼畑文化』に辿り着きました。でも、こんなことを口で言っているだけでは説得力も乏しく、あれこれ観念の中で考える限界もある。実践を通じて、新しい境地とともに、地域づくりとしての展開を見通していきたいと思っています。

SDGsが叫ばれる時代に、焼畑なんてやって二酸化炭素を排出してよいのだろうか? そんな疑念が誤解でであることは、焼畑の周期プロセスを見直してちょっと考えてみたら、すぐ分かりました。想像よりずっと早く、全国で焼畑を実践している人たち同士のネットワークに加わることができました。すでに県外の実践地を訪問し、火入れ準備作業に加わって実地研修も進め、必要な技能講習も受けています。もちろん焼畑だけでなく、これまで集落支援の一環でおこなってきている石垣修復ワークショップも続け、ツリークライミングも大切にしていきます。地域学習にも貢献していきたい。
いまは居住している奈良田を拠点に、西山地区全体の地域活性化に取り組む早川町集落支援員として、この『焼畑文化プロジェクト(仮)』を中心に携わっていますが、ゆくゆくは3月の退職と同時に設立した「一般社団法人ほらじゅう」の活動とつなげていきたい。これまで通り、各集落の維持活性化に向けて、住民として共に考え、体も動かす〝なんでも屋〟であり続けながら、自分たちの知見や技術が社会貢献的に統合されていくことを夢見つつ。


(ゆ)
| カテゴリ: ヘロホイ |
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