奈良田より
 私たちは、山梨県南巨摩郡早川町で暮らす家族です。2017年3月末に移住してきました。
 それまでは愛媛県の明浜町というところで、自然栽培を目指して、柑橘や梅の果樹栽培をなりわいにしていました。突如、地元地域に沸いて出た大規模風力発電のための巨大風車建設計画を知らされたことをきっかけに、暮らしにおける自分たちの〝当事者意識〟を見つけなおし、精一杯のことをしてきたつもりでしたが、ある節目で、移住を決意しました。温暖な海辺の村から、南アルプスの麓の水源近くまで、居住地が一気に駆け上がってきたことにも、きっと、何か意味があるのだと思っています。
 次の時代とは、どちらかといえば近代の矛盾に無頓着な、遠くの、小さな場所から表れてくるのではないでしょうか。できることならば、生産的な営みに携わる、地域に根差した人間として、いち早くその時を迎えたい。同じ思いで、愛媛で名乗っていた『なんち屋』の屋号をそのままに、家族と、近所の人たちと、そして国内外各地から訪れる友人たちと、それまで想像すらしていなかった人やチャンスに巡り合い、それぞれの世界を交差させながら、笑いながら年を重ねる、刺激的な日々を、ここ早川町でも送っていきたいと思います。
 うえはらゆうき、上原若菜、そして梅音(うめお)・朱座(すくら)・万傘(まかさ)、さらにこちらに来てから授かった朗手(さえで)の4人の子どもたち。『なんち屋』の6人家族を、どうぞよろしくお願いいたします。

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