2015,11,24, Tuesday
興味本位でアボカド苗木を購入してみたのが5年前。その後、松山市農業指導センターで開催されたアボカド市民講座に参加して、これは本気でやってみようと思い、思い切って数十本の苗木を入れました。
そして最初の4本のうち、並べて植えた2本、ベーコン種とハス種の1本ずつが、とうとう初めて実をつけました。ずっと無肥料・無農薬で育ててきた、どちらも思い入れのある樹です。ここで得た自然栽培の知見を、柑橘類や梅の手入れにも逆反映させてきました。 先に収穫するのはベーコン種。20数個の実をつけていました。年内なら樹上に生らせたままで大丈夫だろう、その分味も良くなるはずと考え、収穫の適期の頃合いを楽しく見守っていました。 ところが、それまでは干ばつ気味だったのに、秋祭りが終った頃から、急に雨がよく降るようになり、しかも気温が異常に高い。するとそのためか、いくつか裂果の発生を確認。翌々日になって慌てて全部採り込んだときにも、さらに3個見つかりました。新たに発生したのかもしれません。 割れた実は、追熟や調理の実験を兼ねて、自宅で保管。種も確保したかったので、ちょうどよかったかな。暗所で5日ほどで、全てほとんど同じタイミングで追熟が完了したので、やはり樹上で、かなり熟度が進んでいたようです。 ベーコン種のアボカドは、スーパーなどで市販されているものとは、見た目から全く異なります。1個当たりの重量は3倍くらいあり、つるっとした外皮は緑色で薄く、しかも種の大きさは同じくらいだから可食部の割合が大きい。とても一日では食べきれないほどの量になってしまいました。 香酸柑橘果汁と塩で処理して、ラップ掛けして冷蔵保存しましたが、ほんの2、3日で表面が変色し始めます。なんかすぐに食べないともったいない。でもまだこんなにあるのに、どうするか・・・。 そこでやってみたのがアボカド丼。炊きたてのほかほかご飯にオリーブオイルと醤油の組み合わせは大変合うものですが、ここに完熟アボカドをどっさり載せてみました。 (わ)などは「ぜ、ぜいたくな・・・。いいのかなぁ」と怖気づいています。「生産者が一番最初に一番いい思いをしなくてどうする。そのうち売るほどできるんだ、食え!」、この掛け声で二人してガツガツ喰らいつき始めました。いや、僕だって怖気づいているんです。勢いつけないと。「レストランみたいなところだったら、いくらになるんだろう?」「プライスレスよ!」 それにしてもこれが美味であったこと。全く青臭くなく、アボカドは爽やか、かつ濃厚。こんなの初めてだ。高校時代のように、あっという間の完食です。 なんち屋の中心的な作物の柑橘類は、嗜好品といった類のもの。それは他の果物だって同じだと思います。けれどアボカドは、それとは違った、一般食材としての可能性を持っている。少なくとも日本の果樹栽培ではなかった新たな価値、それを垣間見たようで、嬉しい。しかもその可能性に、自然栽培で到達して触れたことは、僕にとっては大きな意味があります。 あー、よかったよかった。こういうのを“冥利に尽きる”と言うのかもしれませんが、でもこんな喜びもすぐに忘れてしまう気もします。 農業ではさあ次へ、またその次へ、そんな思考になってしまいがちだから、せめて上達が実感できるような向き合い方を、アボカド栽培とは続けたい。おあつらえむきに、後から購入した苗木数十本も控えています。 (ゆ) |
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