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病・虫・鳥・獣類の害
 これまでも農薬に頼らない栽培を目指してきましたが、さらに肥料にも頼らない道を探るべく、今年は収穫のあるすべての園地で施肥を止めました。農業研修のときから疑念を持っていましたが、農薬よりも、肥料の方が環境への負荷が大きいような気がしてならないのです。
 最近では、肥料に頼ることが、農薬依存のサイクルのひとつではないかという仮説を持ち始めています。肥料を施すということは、その土地の環境や樹そのものに備わっている本来のポテンシャルに無理をかけるということとも考えられますから、そこへ病虫害が発生しやすい状況が生まれているのではないか、というわけです。

 ただこれは、これまでの常識では、生産成果に直結する手入れを省こうとする試みに他なりません。全ての栽培技術を丸ごと、それぞれの関連性や順序まで、見直してみています。就農してからのこの2年間で、少しずつ実験してきました。そもそも他の生産者と比べると経験が浅いので、どの点についても「こうなっているはずだ」という確信はなく、「どうなっているかなぁ」と、ちょくちょく確かめにいく日々でした。
 仮説が合っていたかどうか、それは数年単位で結果と向き合ってみなければなりませんが、施肥を止めたことによる悪影響は、いまのところ出ていないと思います。今年は豊作の園地が多く、収穫に向けて、最後の仕上げの仕事に向かおうと思っていた矢先、農薬不使用の恐ろしい現実を突きつけられることとなりました。

 9月に入って、カメムシが大量発生しました。カメムシの被害は主に温州みかん、特に極早生、早生種に集中するものですが、成熟の前のまだ青い時期の実にカメムシが吸い付くと、成長が止まって落果してしまったり、腐敗してしまったりします。成熟したものでも、果実の中身が変質してしまい、生果として出荷することはできません。
 僕の方では、今年から管理を任されている中生種の温州みかんの園地でカメムシの発生が確認でき、しばらく様子を見ていましたが、全滅が懸念されるほどになり、たまらず化学農薬を使用しました。あるいはこの農薬散布が他の生産者と比べて遅かったため、カメムシの駆け込み寺的場所になっていたのかもしれません。さらに今年は発生期間が長期に渡り、伊予柑やポンカンといった晩柑類にも被害が大きく広がっています。「今年は酷い」と嘆くベテラン生産者もいますが、このような事態は、僕には経験がありません。カメムシ防除のための農薬使用はこの一園地だけと決めていますが、全体の収穫量は大幅減を見込まざるを得ません。

 この現実とどう向き合うのかは、これからじっくり考えていきたいと思っています。また、カメムシの被害だけでなく、今後はまだ経験のない鳥獣被害も出てくることもあろうと思いますが、これらは果樹の生育そのものへの影響ではないので、肥料に頼らない栽培は、これからも求め続けていきたいと思っています。


(ゆ)
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