How to

第2章.デジカメ編(カメラの概要について)   

第7回.デジタルワークス

その2


3.デジタルとアナログ

 デジタルとアナログ(銀塩)、それぞれ共存をはじめたいま、改めて独断と偏見で特徴を比較 してみましょう。
 表 2-2:デジタル写真と銀塩写真の比較
■デジタル写真■■銀 塩 写 真■
a.機材現在は高価比較的こなれており割安
b.記録性メディアフィルム
繰り返し使用することができ安価1回毎使用で、割高
c.安定性全身電子パーツで精密機械扱いを要する 比較的頑丈で完全機械式カメラは電気不要
湿気の影響を受けやすい 最新機種は電子部品増加で湿気を嫌う傾向
d.感光性カメラ本体で感度設定1コマごとに可能 フィルム交換で感度変更に対応
例外として現像処理により増減は可能
e.色温度カメラ本体で感度設定1コマごとに可能 フィルム及びフィルターで対応可能
撮影後の変更はデジタル化しない限り不能
f.即時性パソコン上で容易に展開ラボで現像処理が必要
成否は液晶モニタで確認できる ポラパックなど別手段で確認
メールに添付して容易に転送可能 一旦現像後、郵送などで対応
g.品質性1000万超画素機登場でほぼ満足レベル フォーマットが4x5まであり充分
h.電源性瞬発的なパワー要し、電池の持ちが悪い 巻き上げ機能を除くと比較的省エネ
i.保存性電気的データなため複製が容易にできる 瞬時にして消滅する恐れは通常無いが
一瞬にして消失の危険性がある 化学反応の経年変化で退色等の恐れは残る
バックアップを取ることで対処可能 擦り傷やカビなどによる劣化も防ぎにくい
j.加工性パソコン上で容易に行える フィルム自体が完成品
デジタル化により、左の項目へ移行可能
k.保管性パソコンで電気的に保管が可能 フィルム(ネガ・ポジ)保管条件がシビア
HDDやCD-R、DVD-Rなど選択肢が多い 保管上のスペースをそれなりに要する
データベース化が比較的容易 検索システム構築など問題点が残る

 さて、いろいろと並べてみましたが、今でも大伸ばしを前提に風景写真を撮るなら、銀塩の 中判以上のカメラで、じっくりと臨みたいものです。
 ところで、もう数年前から世界のカメラショウなどで、ニュースとして話題にはなっている ものの一向に新製品として登場してこないものに、35ミリ判用の「デジタルバック」という 製品があります。35ミリ判と断ったのは、米コダックから中判用のバックはすでに存在する からです。
 この35ミリ判デジバックが出たならどんなにか良いだろうと、ファンの間では待ち望まれて いる製品なのですが、やはり単純に銀塩一眼レフカメラのフィルム部分にデジバックをポンと 挿入し、電源とデータやりとりのコネクタを繋げばいつでもデジタル画像が得られるメリット は、大きいと思うのですが、それぞれカメラとの相性や撮像素子へのゴミ不着など解決しな ければならない問題点が山積みなのでしょうね。それと、昨年キャノンから「KissD」という 実売10万ちょっとで手に入れられる機種が出た今、デジバックに30万円以上の金額は不釣り 合いで、生産効果も薄まりつつあるのかも知れませんが、そのあたりが意外な融合点の可能性 も、ますます目が離せなくなります。


4.画素数

 次なる難題画素数について考えてみましょう。
 最近のデジカメは前にも書いたとおり、日本の商品コマーシャル上、数値化された表示ほど 差別化に適したものはないとばかり、数年でコンパクトデジカメでもハイエンド機に至っては、 8M画素機まで出てくる始末です。行き着くところまでいっても開発のスピードが 許してもらえないのが、悲しい性とでも言うのでしょうか?
 このような数字の一人歩きは今に始まった風潮では無いのですが、未だに画素数が多いほど、 高画質の写真が得られるという、経済が常に右肩上がりの時の妄想を見るようなコマーシャル コピーの鵜呑みの合い言葉もこの辺で見切りを付けようではありませんか。
 ところが、画素数と画質の関係は、ある程度の所までは比例して良くなる事は事実なのです。 その妥協点がどのあたりなのかという事が、むしろ見極める為には必要な事なのです。
作例 2-14:オシドリ ♂(100万画素機) 作例 2-15:(400万画素機):前出
データ カメラ:EOS1D、レンズ:100〜400mm(400mm)、 絞り:f5.6、絞り優先AE、ストロボ同調
 作例 2-14、15は前回のところでも出てきた画素数の違いを表す画像です。
 100万画素と400万画素ですから、違いは明白で、この見比べなら当然誰でも400万画素機を 入手するはずです。ところがこの数字が最近のように6Mや8Mにまで至っては、果たして自分で 撮る写真にそのような高画素機が必要かどうかもう一度冷静になって考え直して見たいの です。
 そこで先ずは、条件からもう一度読み直してみますと。
 作例の画像は、それぞれの画素数で撮影したコマをA4サイズへ拡大出力した際の原寸表示と あります。つまり落とし穴はA4サイズへの拡大にあったのです。A4サイズと言えば、297X210mm という大きさで、通常の写真プリントサイズからするとワイド六切りサイズに相当します。 ハガキサイズがほぼA6ですから、その 4倍もの大きさにプリントしているわけです。それを 原寸でつまり至近距離からルーペで覗くような見方をして比べていたわけです。
 そもそも印刷プリンターへ送り出す際の写真画質の基準は、小さめのプリントの場合最低限 240dpi が必要とされています。(もっと大きな四切りサイズ以上だと200dpi 程度) この計算法で、L判(127X89mm)へプリントすることを考えると、100万画素機でちょうど良い 画素数になります。同様にA6(ハガキ)サイズへのプリントなら130万画素機、A4サイズへ400万 画素機で充分といった具合です。四切り以上のサイズに拡大した場合、ある程度離れた場所から 写真は眺めることになりますから、画質も小さなプリントほどには必要ないと言う意味 です。
 これは、裏を返せば出力の際に240dpi 以上に画質を上げてもプリントした画面上は私たち には識別ができないという前提に立っての話で、実際問題どんなにルーペで目を凝らしてみ ても、それ以上の高画質出力と見分けはつかないのです。
 そうなると300dpi 以上で出力するメリットは何もないことになります。むしろ重たい データになればなるほど、パソコンに負担が掛かり、ひいてはプリンターへの出力スプールに 時間を要し、おまけに画質上何の変化も見いだせないとは、何のための高画質なのでしょう か?
 答えは簡単明白です、大きなサイズに出力する為にだけ、高画素数が必要なのです。すなわち 高画素数のカメラでないと高画質出力はできないとはあながち言えないということです。
 高画質画像を得るための要素には、最低限の画素数は必要ですが、むしろレンズの性能や、 デジタルデータを処理するソフトの性能、ローパスフィルタの癖、そもそも撮像素子の癖など 様々な要素が絡んで結果として生まれてきます。
 そして、それ以上に問題となるのが、カメラの使い心地すなわち撮影者の思い通りに操れ るか? ストレス無くシャッターを切り続けられるか? そして必要なときに設定変更が容易 にでき、結果の確認も瞬時に行えるか? 確認中でも撮影体勢への移行がスムースに行えるか? など、多分に数値には表しにくい要素に帰着するものなのです。

 表 2-3:引き伸ばしの際に必要な画素数

 引き伸ばしサイズ  解像度:240dpi      200dpi
 a. B3  515X364     約 17 M画素  約 12 M画素(一般的なカレンダーサイズ)
 b. A3  420X297     約 11 M画素  約  8 M画素(半切サイズ相当)
 c. A4  297X210     約  5.6M画素  約  4 M画素(ワイド六切り相当)
 d. A5  210X148     約  3 M画素  約  2 M画素
 e. A6  148X105     約  1.3M画素  約  1 M画素(ハガキサイズ相当)
 f.L判  127X 89     約  1 M画素  約  0.7M画素
    
   ここで、この表はこの数字以上の画素数があれば引き延ばすことができる目安を表したもの で、実際には様々な撮影条件により、引き伸ばしに耐えられないケースも出てくることは お含み置き下さい。
 また、実機で必要以上の画素数をもつカメラをお使いの場合、画素数を落として記録する 設定に変更も可能ですから、撮影画像クォリティはいつも注意をしておく必要があり ます。
 メディアへの書き込み枚数などもこのクォリティ値如何によってはかなりの違いが出てき ますから。
 ところで最新機種の 8M機を手に入れる方で、果たして表にあるA3サイズへのプリントを、 何回出力するでしょうか? 人ごとながら心配をしてしまいます。
 ちなみに、皆さんがご覧になっているパソコンの画面ですが、これはたいてい 72dpi で 表示されています。ですからこの講座で作例として出している画像はPhotoshop という ドロー系のソフトで画質を 72dpi に落として、所定のサイズへと小さくする作業を行って います。これは、ホームページをお持ちの方なら言わずともたいていそうされているはず ですが…
 ですから、先の8M機の画像をそのまま72dpi のパソコンモニターで原寸表示しようとすると、 なんと幅が 48.7インチすなわち60インチのモニターでもぎりぎりはみ出す、もてあますような サイズなのです。こんな計算して一体何の役に立つのだろうか?


▼中判(ちゅうばん)
 銀塩カメラのフォーマット(サイズ)は、小さいサイズから小判、中判と大判 に大別できます。
 中判は、幅約 6センチのロールフィルムを使用するカメラの総称で、ブロニー判とも呼ばれ ます。歴史的には、35ミリ判よりも古く、フィルムの感光剤の性能が現在より低い時代の主流 フォーマットでしたが、ドイツのライカ社が画期的な映画用の35フィルムを用いた フォーマットの機種を出したことにより、主流の座を追われた形となり、現在まで大きな進化も なく生産続けられている。
 ところがデジタルの台頭で逆に35ミリ判の速写性存続価値に疑問が投げかけられ、画質 重視を旗印に見直されつつある。AF化もほとんどのメーカーで参列済みとなり、一眼レフタイプ から、距離計連動タイプ、また一部には二眼レフタイプのカメラも存在すると言った多様振りで ある。
 現在は遮光紙付の120タイプと裏紙無しの220タイプという 2種類のフィルムが製造されている。 フォーマットとしては大きいサイズから順に「6X9」「6X8」「6X7」「6X6」「6x4.5」と コマ送り幅の違いでほぼ 1センチ毎に 5種類に分けられる。

▼小判(しょうばん)
 銀塩写真のフォーマット中小さいもので、パトローネと言う金属製のケースに納められている 点が他のフォーマットとの大きな差で、現在サイズとしては小さい方から、ミノックスサイズと いう 9.5mm幅のフィルム、APSサイズという 24mm幅、そして一般的な135判(35mm幅)フィルム の 3種類がある。

▼大判(おおばん)
 銀塩写真のフォーマット中最大のもので、シートタイプのフィルムを用い一般的には、4X5 (通称:シノゴ)、8X10(通称:エイト・バイ・テン、又はバイ・テン)がある。この 場合の単位はインチが用いられている。

▼8M(…メガ)
 この場合正確には、「8Mピクセル」と表記すべきでしょう。M(メガ)とは100万を表す記号 です。つまり 8Mは 800万を表します。

▼dpi(ディ・ピー・アイ)
 dot per inch すなわち 1インチ当たりどのくらいのドット(点)があるかを示す単位。
240dpi とあれば、 1インチ当たり240ドットを表す。

▼クォリティ(quality)
 画質の意味。