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第2章.デジカメ編(カメラの概要について)   

第2回.デジタルカメラ

その2


3.デジカメの構造    その2

 脱線しましたが、前回でローパスフィルターを撮像素子の前面に置いて、ほんのちょっぴり ぼやかした画像も素子に伝わり、電気的に演算後メディアに記録して、無事画像をゲットした ことになります。

 でも、お読みになっておられる方で、デジカメをすでにお使いの方は、きっとこう仰る だろうと思います。
 「私のカメラはピンぼけなんかにはなりませんよ。ちゃんと綺麗に撮れてますよ。」と…
 そうです。普通に市販されている、デジカメはそんなピンぼけ写真ができちゃうようなことは ありません。自発的、作為的にシャッターを押すときにブラしたり、ピントも合わせずに シャッターを切ったりしない限りに置いては…
 それは、実はカメラの開発者が一番知っていることですから(ぼかして写ることは)、そして 一番知られたくないことでもあるのです。ですからコンパクトデジカメの場合などは特に、 画像を記録する際に、カメラの中で隠密にぼけていないように見せるための処理もしちゃって いるのです。色の癖があるカメラの場合も、みんなまとめてそれらしくよく見える ように、現像処理と称して。フィルムカメラの場合なら、撮影済みフィルムを街のラボに 出すのと同じような処理を知らぬ顔して施して、メディアに書き出しているんです。ですから 1コマ切った後もカメラの中で音もなくゴソゴソ(音もなくなので無音なのですが…)と、 隠れ作業をやっているので、次にシャッターを切ることができるようになるまで、それなりの 時間がかかっているのです。ですから別にカメラがダメだからでは無いんです。

作例 2-6:オシドリ ♂ 作例 2-7:2-6 にアンシャープマスクを掛けた状態
共通データ カメラ:EOS1D、 レンズ:100〜400mm(400mm)、絞り:f5.6、絞り優先AE
 そこで作例ですが、左はRAW(ロー)データと言って、撮像素子が信号として捉えた そのままの画像を様々な調整なしに画像にした絵です。何となくピントが… これは、筆者が 持っているカメラがヤバイのではありませんし、腕が落ちたからでも無いんです。撮影時の ローパスフィルターでぼかした画像だからです。それを右の画像は、Photoshop という画像 ソフトでアンシャープマスクを掛けた状態です。つまり撮影時のシャープさを再現 するための処置です。ピンぼけ画像をシャープに見せるシャープネスとは別のものです。 おかげでわがオシドリ君は無事シャープにカメラの中で花が開いたというわけです。
 本来レンズの持つ解像力をこのソフトで再現できたわけで、この処理やコントラストの 調整などはいわゆる画像をいじるという感覚でなく、デジカメの特性上やむを得ない作業を 現像後に行う儀式のようなものです。



▼色の癖(いろのくせ)
 カメラに使うレンズには、多かれ少なかれ癖が存在します。基礎編でも詳しく述べた収差の 他にもレンズ材質のガラスや樹脂による、色の偏りもあります。それらの色の癖(偏り)も、 程度が大きくなると、撮影した画像にも影響が出て、忠実に色再現ができないなどの欠陥が 起きかねません。そこで、JISでは、この色の偏りに許される規格を設けています。すなわち カラー・コントリビューション・インデックスがそれです。
 詳細は非常に難しい規格なので省略します。

▼アンシャープマスク
 画像の粒子毎にその周辺とのコントラストを上げて画像を引き締めるフィルター(処置)で、 処理半径を目的に応じて変えられることなどからシャープネスの補完には最も有用な処置です。  画像の広い範囲に自然なシャープネスを加える目的に向いています。

▼シャープネス
 画像の微細な部分を鮮明に記録する際のフィルム(撮像素子)の能力のことです。一般に、 ISO 感度が低いほど、粒状感が無く被写体を鮮明に写す機能が高くなります。

▼粒状感(りゅうじょう・かん)
 画像をプリントや引伸ばした場合に、粒子が砂目状に見えたり、だんごに固まって 見える質感のことです。

▼粒子(りゅうし)
 フィルムの場合は、感光材料中の乳剤に含まれている物質によって生じます。高感度 フィルムで撮影すると、画像の粒子の粗さが目立ちます。感度は高くなると、粒子のパターンが 大きくなることが主因です。
 デジカメの場合も同様に、感度を上げた場合に周辺の素子の力も借りた上で、画像を記録する ことは基礎編と、デジカメ編の図2−1〜5の「撮像素子の模式図」で触れたとおり です。