How to

第1章.基礎編(カメラの概要について)   

第6回.適正露出


1.露出とは

 さて、いよいよカメラ講座らしい題材が出てきましたね。
 そもそも、露出って、何なのでしょうか?
どこからか「妙齢な女性の肌の出具合」とうわずった声で答えた人はいませんか?
「ピンポーン」実は正解なのです。
「え〜〜?」との、どよめきの声が出てくるかも知れませんが、真に当を得ているのです。
 まあ、お聞き下さい。
写真の露出を決める要素には、大きく分けて3つの要素があります。
  a.ISO 感度
  b.シャッタースピード
  c.絞り
 順を追って、種明かし、いや解説しましょう。

a.ISO感度
 これは、フィルムの、あるいはデジカメだったら撮像素子の感じやすさの指標です。
 デジカメの感度説明では、こちらの解説が一番簡素で分かり易いと感じましたので、引用して 使わせていただきます。
  http://www.geocities.co.jp/WallStreet-Bull/7821/newpage11.htm 
 つまり、概略はこうです
図 1-6:感光 1
縦横3素子からなる、
合計9素子の撮像
素子を、考えます。
図 1-7:感光 2
その中心部、ほぼ4素子
相当分に露光があったと
します。
図 1-8:感光 3
ISO100に設定して、撮影
すると中央の撮像素子
しか反応をしません。
つまり、確実にコンタクト
できたものだけを認識
さた結果です。
図 1-9:感光 4
ISO200に設定して、撮影
すると受光量 1/2 の光
にも反応しました。
つまり、まあ 半分くらい
まで感じたからと許して
くれちゃうと…
図 1-10:感光 5
ISO400に設定して、撮影
すると受光量 1/4 の光
にも反応しました。
一部でも、なびかせてく
れたのを、恩義に
感じて…

 感覚的におわかり頂けたでしょうか?
 デジカメの場合は、ISO感度を上げると、同じものを撮影しても、情報量が増えて 来るのはこのためです。
つまり、私も私もと、感じた人が増えた結果なのです。従ってファイル量が大きくなります。
 つまり、異常に感じやすいタチの方は、ほんのちょっと、触っただけでも「いや〜ん」と、 反応が返ってきて困っちゃうような高感度(好感度の方が分かりやすいな〜)。
鈍い方が低感度というわけです。最近お肌のすべすべ感がなくなって… という方なら、 低感度ということでしょうか? ←何のこっちゃ〜?
ISO (正確には:アイ・エス・オー、略して:イソ)とは、「国際標準化機構」の略で、 以前は我が国でも ASA (アーサ)「米国標準機構」が、広く用いられていましたし、ドイツではDIN (ディン)「独国標準機構」なんて言うのもあり、なんだかこんがらかって…
 これは、かつてそれぞれ大きなフィルムメーカーがあった国が、規格を乱立させた結果で、 話し合いの末、ISO を標準で使おうと決めて現在に至っています。旧ソ連は
GOST なんて言う単位もあったようです。
 数値としては、「ISO」と「ASA」は同じ値を示します。一般には カラーフィルムの場合 ISO400 が標準となっているようですが、ISO800 のフィルムはそれより感度が高くなり、 反対に数字が小さくなれば、感度が低いことを表します。

  ISO表示 DIN表示
   100   21゚
   125   22゚
   160   23゚
   200   24゚
   250   25゚
   320   26゚
   400   27゚
    
  換算式は: DIN=10・log(ISO)+1 なんだそうです

 ISO感度は低感度域では、数字に端数が出るし、逆に感度が高くなっていくと、数字が大きく なってインフレ化が進み表示が面倒になるとのことから、例によって対数表示させたらしい のですが、そんなところにもお国柄が表れているものですね。

 ところで、デジカメの場合は、主に感度は上で模式的に書いたように、電気的な増幅処理で 行われますから、概念的にフィルムの感度に対して、「相当」という言葉を当てて、 「ISO100相当」という表現法が正しいようです。
 最近のデジカメは、最大の特徴として、各コマごとに ISO感度設定を自由に変えられる機種が 多くなってきました。感度を高くすれば、次からのシャッタースピードや絞り値の組み合わせに 自由度が増してくるためにメリットが生まれてきますが、あまり度を過ごした高感度に設定 すると、ノイズという成分も比例して多く発生するようになりますから、注意が必要 です。

b.シャッタースピード
 これは、通常カメラのダイヤルなどには、逆数として 125、30 と書かれていますが、本来は 1/125秒、1/30秒のようにフィルムや撮像素子の感光面への露光時間を表しています。
更にシャッタースピードが遅くなると 1秒を超えて2秒、4秒などと長くなりますが、 こちらは 区別が付きやすいように、朱色などの表示が使われています。
 昔のカメラには、1/100 や 1/300 などという今の系列から離れた数字の表示もあったよう ですが、現在では、露出の考え方が定量的な観点でなされるようになり、後で説明する露出値と 関連づけて考えることが多くなったために今のような数字体系で表すようになって います。

 15、8、4、2、1、1/2、1/4、1/8、1/15、1/30、1/60、1/125、1/250、1/500、1/1000、…

 ちなみにこの系列は、公比を 1/2 にした数列と言えます。(写真表現なので、数字は多少 丸められていますが…)
 任意(n番目)の項とその左隣の項とは以下の関係があります。
(n-1)   a=15X(1/2)
 こんな公式はどうでも良いですね。つまりは右隣に行くに従い、露出時間が半分ずつ に減る「等比数列」といいます。これだけは覚えておいて下さい。

 他には、「B」:バルブといって、シャッターを押している間だけ、露光したり。
「T」:タイムといい、一定時間の指定を行って、決められた時間の間だけ露光できたりも します。

c.絞り

 図1−11:凸レンズの絞り概念図
 そうです、第1回のレンズの説明に使った概念図に少し手を加えてみました。
手を加えたというのは、概念図なので、レンズの被写体方向に絞りをくわえただけです。 つまりこのレンズは、最大に開いた絞りの時がレンズの口径に相当します。(本物のレンズは、 このように簡単な構造ではなくて、複雑ですからこんな幼稚な仕組みでは説明し切れませんし、 筆者の頭には理解不能ですが、まあおおよそこんなところで、理解して頂ければ、さほど 大きな過ちはないだろうと思います。)

 このレンズの「F値」:レンズの明るさ は、次の簡単な式で導き出されます。
    
                レンズの口径   F値(レンズの明るさ)=──────────                レンズの焦点距離

  1、1.4、2、2.8、4、5.6、8、11、16、22、32、…


 この数列も見かけ上は、公比が √2 の等比数列になります。
 ところが、この数字もカメラでは逆数で表示してあり、尚かつ分かりやすくするために レンズの口径を数列として表しています。従って実際に露出として効いてくるのは、 それぞれの 面積すなわち
2   A=πr
 これは、ご存じ「円の面積」を求める公式ですよね。この公式の中で π (:円周率)で共通ですから、 (:口径あるいは絞りの半径)の自乗が比例関係にあることになります。
 つまり、口径も焦点距離も同じ 50 ミリのレンズがあったとすると、そのレンズは F1.0 と 表され、口径が半分に小さくなれば、F2.0 といった具合で。すなわち、右に行くに従い
面積が半分ずつ に減る等比数列と言えます。

 さてこれで役者は出揃いましたね。「シャッタースピード」は
露出時間が半分ずつ に減り、一方の「絞り」も面積が半分ずつ に減る数列同士でした。この両者が出逢ったとき、武蔵と小次郎の巌流島での一騎打ちに なるのでしょうか? この続きは次回です。
 なんか昔あったらしい(…?)、紙芝居風ですね(…?)。