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梅音がやってきた<分娩室の友人編>
 夜中に少量の出血を発見し、のんびり家の前でタクシーを拾っていつもの病院へ。病院に着くと、ガウンに着替えさせられ、あれよあれよというまに分娩準備ベッドに寝かされました。すると間もなく破水が始まり、陣痛はまだないものの、なんだかそれっぽくなってきたぞとちょっとテンションが上がってきます。なのに当直の若い男の先生が子宮口の確認をして「まだ開いてないね」と無愛想に一言。そのまま彼が、担当医の彼女に電話で指示を仰いだところ、朝まで待って陣痛が来なければ促進剤の点滴をすることになりました。愛想のよいシスター(こちらでは看護婦はシスターと呼ばれています)たちは、私とおしゃべりをしながら剃毛や浣腸、点滴の準備、薬のアレルギー検査などを手際よくしていきます。ベンガル語やヒンディー語で話していると、男の先生も満面の笑み。なんだ、そんな明るい顔できるんでないの、とちょっとほっとしたのでした。

~いざ分娩台へ~

 結局朝まで本番の陣痛はなく(といっても、2週間ほど前から「前駆陣痛」と呼ばれる「陣痛の練習」を経験していたので、今回もそんなものかと思って、陣痛がぼちぼち始まってもそれが本番だとなかなか気づきませんでした。今から思えばあれはもう本番の始まりだったようなのですが)、ベッドでごろごろしているうちに、隣のベッドに同じように陣痛待ちの女性がやってきました。日本語で「日本人ですか?」と話しかけられびっくり仰天。コルカタで日本語を習っていたり日本文化に関心を持つ人たちの数はそう多くはないこともあり、共通の友人もたくさんいました。彼女は今はボンベイ在住。実家のあるコルカタに里帰り出産をしているそうです。あららなんとも嬉しい出会い!と二人でちょっと興奮気味に盛り上がっていると、「・・・・つぅっ!!」私が一足早く異常なお腹の張りをおぼえ、会話はそれきり途切れてしまいました。
 陣痛・分娩の痛みは、愉快な妄想((ゆ)がたまにする変なダンスなど)をしたり、日本で食べた美味しい物のお品書きを暗唱したり、いつか八丈島の海でアジの群れに囲まれて最高に気持ちよかった光景を思い出したりしていたら乗り切っていました。忘れられない笑いや味や景色は、心のどこかに残っていていざという時にこんな風にむっくり頭をもたげて助けてくれるものだと知ったのでした。

アジの群れの中に、陣痛のきている腰ごと放り込む感じをイメージすると楽になる。


~プッシュ!~
 
 陣痛もいよいよ間隔が狭くなり、私も必死の妄想で忙しくしていると、ひょこっと担当医の先生が現れました。「あら~良い痛み来てるみたいねぇ!」とニコニコ顔。このどっしりした余裕が拍子抜けしつつも安心するのです。本番分娩台へ移動し、しばらくすると「さぁ、10分以内に会えるよ!」と開いた足の向こうから先生の声。そんなに早く?!と驚いたのも束の間、ドンドコドンドコとお腹の中の祭りはピークに。
 「背骨まっすぐに!」
 「お尻浮かせないで!」
 「口閉じて!」
 「硬いうんちをするような感じで、はい、プッシュ!プッシュ!」
先生が言うままにそうすると、確かに何かを押している手応え(腹応え?)が。3回ほど力んだら、ずるんと人が一人出てきました。その人が、自分で生まれてきたように思いました。

 先生が「ほーら、かわいい女の子よ」と言いながら、逆さ吊りにしておしりをペチリとすると、彼女は「ほんぎゃー」と一声。そのまま、私のお腹の上にぽんと置いてくれたのでほっぺを触ってみました。

 『温かいな』

これが最初の感想でした。そして、思ったよりもお猿のようでなくしっかりしているなとも思いました。会陰切除の痕を縫ってもらっている間(こっちの痛みの方が辛かった・・・)、ずっと斜め向かいで泣いている彼女を眺めていました。

『一緒にたくさん面白いことしようね』

心の中でですが、これが自然と出てきた最初に彼女に話かけたことばです。

きょとん顔  芋虫のように眠る  大家のおばちゃんからもらった、銀の神様コインのお守りはいつも枕元に。


~友だち~

 日本語を話す彼女はどうなったのでしょうか。私が分娩台に乗っている間、ずっと彼女の叫び声が聞こえていました。陣痛に絶えられず、泣いたり叫んだりしていたのです。(この声は廊下で待っていた(ゆ)にも聞こえたらしく、(ゆ)は恐れおののいたとか)そんなこともあったので、ずっと気になっていたのですが、数日後入院中の授乳室で再会し、私の分娩の13分後に無事に男の子を出産したとのことを聞いて一安心。男の子のニックネームは「ゴゴル」くんだそうです。親戚中が今彼の正式名を決めているので、今はニックネームだけ。日本では「命名 梅音」と墨で書くんだよ、というと、ぜひゴゴルの分も書いてほしいといいます。もちろん、と言って授乳室で盛り上がりました。いつか、梅音がゴゴル君と友だちになる日がくるといいなぁ。

授乳室で再会、Damayanti。  入院2日目から食欲もりもり  付き添いの(ゆ)は分娩待ち疲れで、バタンキュー

(わ)
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