わたしたちは、2009年より愛媛県西予市明浜町に移り住みました。それまではインドのコルカタという街で暮らしていました。農業研修を経て2011年 に就農し、柑橘や梅といった果樹の有機栽培をなりわいとしています。この家族のことを、どうぞ『なんち屋』と呼んでくださいませ。


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うえはらゆうき


 場所というものは、どのように表れてくるものでしょう。きっと、「変」ということと関わりが深いのではないでしょうか。例えば動物の進化に同じような側面があると思います。
 進化の過程は、環境の変化に対応して、合目的々に果たしていったのではなくて、無意味に、「変」な存在であったのが先だったのではないでしょうか。その「変」な特徴が、変化していく環境に適合していれば、生き残っていく。ゾウの鼻は、何かのために伸ばしていったのではなくて、なんか知らないけど伸びていってしまった。そしたら思いのほか使い勝手がよかった。キリンの首も、勝手に伸びていっちゃって、たまたまうまい棲み分けになっていた。そういう流れではないかと思うのです。
 さて場所のほうと言えば、同じように「変」な空間が、時代や気分の変わり目に、何かしらの形で発見されて表れるのではないでしょうか。もちろん、時代に 合っていなければ、衰退して滅びてしまうこともあろうと思います。こういうことを、実践的に確かめていきたいというのが、ここで暮らす大きな理由です。
 芝居に携わった経験、思いっきり議論した大学院のときのこと、ネパールやインドの思い出、主婦の経験、奇跡とも思えるような人々との出会い、かんまん部屋の暮らし、そういうものを全部ひっくるめて、この田舎がその場所として、次の時代の大切な舞台となるよう、段畑で栽培をおこなう人間として、僕たちの農 業はまちつくりなのだという志しは忘れずに、元気よく過ごしていきたいと思っています。







上原若菜

 どの年にも、それまで想像すらしていなかった人やチャンスに巡り合い、20歳くらいからか、それらが私の人生の新たな展開を生んできた。それがここ明浜に来てからもまだ続いている。
 けれど、今ここにあって今までとは違うのは、自分の拠点は動かないこと。出会いや思いは、場所も時間も飛び越えて世界中あちこちに飛んでいくけれど、同時にここで、ゆっくり下に根を張る訓練も積ませてもらっている、と思う。
 巨大な猪肉を捌いたり、樽いっぱいのハモを捌いたり、薪風呂を沸かして、たまには囲炉裏に火も起こしたり。梅干し漬けた り、季節季節にとれる溢れんばかりの野菜たちを試行錯誤しながら料理し、皆と食卓を囲む。知らず知らずに、小さくとも出来ることが増えてきているかしら。 ここで家族と、近所の人たちと、そして国内外各地から訪れる友人たちと、それぞれの世界を交差させながら、笑いながら年を重ねる、そんな刺激的な日々を送っています。




梅音(うめお)朱座(すくら)万傘(まかさ)

 梅音は2008年10月、コルカタで生まれた子。『梅音』と書いて「うめお」と読みます。朱座は明浜に移住してきてから、2010年9月に生まれました。『朱座』と書いて「すくら」と読みます。そして2013年7月に生まれた第三子は、『万傘』と書いて「まかさ」と名付けました。
 クレイジー担当だった梅音はすっかり乙女。発狂癖を残しつつ、ごっこ遊びと絵本作りで、ファンタジーの世界とを行ったり来たり。朱座は木切れと広告紙で剣作りを丹念に続ける恐竜好き。闘いごっこの最強ヒーロー。万傘はいつでもおでかけ準備万端。リュックを背負って靴を履いて、土間と庭と、ぐるぐる歩いて準備運動。みんなを笑顔にしてくれる、和み創生担当です。この子たちのおかげで、家庭としても、地域のお付き合いも、どれだけ豊かになっていることでしょうか。
 皆さまにも、どうぞよろしくお願いいたします。


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