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BLOGN(ぶろぐん)

大淵の主

 暑さ、寒さは彼岸までとは良く言ったもので、春分の日の直前には雪が降ったにもかかわらず、春分の日以降はとても暖かく特にここ数日は暖かさを通り越して暑ささえ感じます。

 雨前の蒸し暑さを感じる午後、渓流に向けて出発しました。ある小さな支流に入りましたが、思ったより水量が少なく小さなヤマメが釣れただけでした。



 そこで、この支流が流れ込む本流筋に入りました。合流点のすぐ下流には大きな淵がありました。

両岸には大きな岩盤が露出し、淵は50m以上もあり、青々とした水をたたえていました。

日中は、風が強かったせいでたくさんの落ち葉が淵一面に浮いています。

そう、この辺りの川沿いは常緑広葉樹が覆い、ちょうど新芽が出る時期であります。

シイやカシ類は、新芽の出る時期に古葉を落とすのです。もう暫くすると、新葉のきれいな時期が訪れるのです。

 岩盤の上から、そっと淵を覗きこみます。手前の緩い流れには、20cm〜25cm位の魚が見えます。底の方に定位し、黒っぽく見えるのはどうやらウグイのようです。中層には、筋の入った魚が見えます。これはカワムツ。

その近くに白っぽく見え、右に左に動き回る魚がいます。ヤマメです。「このカワムツの近くのヤマメを釣るのは至難の技だな。」と思い、対岸の切り立った岩に沿って緩やかに流れる筋を見ると大きな魚がゆっくりとした動きでライズしています。

 尺を超えるヤマメの様子を見ていると、不思議な動きをします。ライズする前に必ず体を左に傾けて、それから水面の流下物を食べています。流下物は多いらしく、盛んにライズしています。捕食しているものは、小さな物らしく、こちらからは遠くて確認できません。

 妙な動きは少し気になりましたが、様子から活性が高いと見て、ちょっと大きめの14番のブラウンパラシュートを結びました。流れが緩いので薄めのハックルのものです。

 1投目は、風に押し戻され届きません。ピックアップしようとしたところで、バシャっと魚がライズ。手前のカワムツがヒットしてしまいました。場が荒れないようにごぼう抜き。先ほどのヤマメを見ると、まだゆうゆうとライズをしています。

 2投目は、上手くヤマメの1mほど上流の流れの筋に乗りました。ゆっくりと流れるフライにヤマメが気づきました。体を傾けてフライに近付きます。しかし、30cmほどフライと一緒に下り、何事のなかったように元の場所に定位してしまいました。

 少し沈めた方が良いのだろうか?もう一度ヤマメのライズを見ます。明らかに水面のものを食っているようです。サイズを18番に落とし再度挑戦です。これでダメなら少し沈めて見ようと考えました。

 魚の頭の上にリーダーが落ちないように注意し、今度は一発で流れにフライが落ちました。やはり、体を傾けながらフライに近付き、今度はあっさりとフライを吸い込みました。完全に魚が沈むのを待って、竿を立てました。大きさの割には、あっさりと水面に浮いてしまいちょっと拍子抜けしました。



 慎重に寄せて、魚体を見て衝撃を受けました。

あまりにもやせていたからです。また、尾びれも擦れて丸くなり、傷もあります。左目は白く濁っていました。

その白い目を見て、ようやくライズする時の不思議な行動がわかりました。

左目が見えないからなのです。水面の小さな流下物を確認するために、右目だけで確認していたのでしょう。

 傷だらけの魚体で、厳しい環境を生き延びてきたヤマメ。釣った喜びはなく、餌を一生懸命に食べ、体力を回復しようとしていたヤマメの邪魔をしてしまった罪悪感が残ってしまいました。








| http://doratomo.jp/~flyfishing-shiki/note/index.php?e=83 |
| 釣り::四季の釣り | 2007/04/01, (Sunday) 01:35 AM | comments (0) | trackback (0) |