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今、宮崎のフェニックスが危ない
切り倒されたフェニックスの株

 宮崎市街地を国道220号線を南下します。宮崎市折生迫を過ぎると、峠に差し掛かり、その峠を登りきると突然視界が開けます。

そして、目の前に青い海と、南国情緒豊かなフェニックス(カナリーヤシ)の植栽が目を引きます。

 そう、ここは宮崎の人なら誰でも知っている掘切峠であります。

私も釣りの行き帰りに良く通る堀切峠には、南国のイメージを演出する為に多くのフェニックスが植栽されています。

しかし、近年このフェニックスのある風景が無くなりつつあるのです。

 この堀切峠だけで、10本以上のフェニックスが枯死し、切り倒されています。

 最近よく新聞などのニュースでも取り上げられていますが、 宮崎の県木にも指定されているフェニックスがどんどんと立ち枯れによってなくなって来ています。

原因は、’98年頃にいるか岬で確認されたヤシオオオサゾウムシという外来害虫の食害による被害によるものが目立ってきています。








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 このヤシオオオサゾウムシとは、どういう虫なのでしょうか。ある図鑑にはこうありました。


ヤシオオオサゾウムシ

和名:ヤシオオオサゾウムシ

分布:台湾、フィリピン、タイ、中国南部、インド、スリランカ、ハワイ、オーストラリア、ニューギニア、フィジー

加害植物:フェニックスなどのヤシ類、海外ではココナッツ、サゴヤシ、アブラヤシ、デートヤシの大害虫。時にサトウキビに加害する。

生態:成虫は、台湾で、5〜6月、10〜11月の2回程度出現する。メス生存期間は、約2ヶ月。その間に約100個程度の卵を産卵する。幼虫期間は、夏期で3ヶ月、冬季で6ヶ月。

 このヤシオオオサゾウムシは、フェニックスの葉柄の付け根部分に産卵します。そして、孵化した幼虫は、葉の付け根部分を食害します。

それだけなら、フェニックスは枯死する事はないのですが、厄介な事にたくさんの幼虫が入ったフェニックスは成長点まで食害されてしまいます。フェニックスは脇芽が出ないので、成長点を食害されたフェニックスはいずれ枯死してしまいます。

最近、宮崎市周辺で、フェニックスの芯が倒れて枯死するのを良く見かけるようになりましたが、これがヤシオオオサゾウムシによる食害なのです。

普通、フェニックスなどのヤシ類は、古い下葉から順序良く枯れて行くのですが、途中の葉が枯れたり、抜け落ちたりした場合も食害されている可能性が大きいです。

 下の写真は、2001年に撮影したものですが、フェニックスの成長点付近を食害され、抜け落ちた部分の写真です。

そして葉の付け根付近には多数の穴が開いていました。その穴からは写真のような幼虫、さなぎが多数出てきました。ざっと数えて30〜40匹は出てきたと思います。

幼虫は大きいのから小さいのまで色んな段階のものが見られたと言う事は、宮崎でも年数回産卵する事が容易に想像できます。

そして、食害された部分が腐敗して腐敗臭が凄かったのです。








頂芽部分が倒れたフェニックス
このように葉柄の付け根を食害する
食害されたフェニックスの葉
色々な段階のゾウムシが出てきた

 もともと熱帯地方にしか居なかった虫が、なぜ宮崎で繁殖出来たのでしょうか?

それは多分、近年の温暖な冬の気候が影響しているのと、食害されたヤシの中は、発酵熱によってかなり暖かい為だと思われます。

食害された木の中の温度は確か20℃ぐらいあったと記憶しています。

 この害虫は、なぜ宮崎で発生したのでしょうか。

 それは、ちょうどバブル期前後に緑化ブームがありました。

この時、国内産のフェニックスは品不足となりました。

そこで流通業者、生産業者は、台湾などからヤシ類を輸入し始めました。

この輸入したヤシに付いてきたものと思われます。

宮崎でも、フェニックスなどのヤシ類を輸入している業者がいます。

また、国内でも、沖縄県では’70年代に発見されていますし、鹿児島県でも被害が深刻なようであります。

宮崎県を含めこれらの地域からの樹木の移動は害虫の分布拡大の可能性もあり憂慮すべきではないでしょうか。

各公共機関では、フェニックスの薬剤散布、防虫ネットの設置など、多額の費用を投入して防除しようとしています。

しかし、なかなか飛来害虫の防除は難しいのが現状です。また、既に食害されているフェニックスに外からいくら薬剤を散布しても、ほとんど効果が無いのは事実です。

 そして、もっと深刻なのは、個人が管理しているフェニックスが野放し状態である事です。

 市内のフェニックス数十本を見て回りましたが、今現在枯れていないフェニックスにも、食害の跡などが見られる樹木が多数見受けられました。

このままの状態では、そう遠くない将来に、宮崎のフェニックスがほとんど消滅してしまうのではないかと心配であります。







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| http://doratomo.jp/~flyfishing-shiki/note/index.php?e=37 |
| 植物 | 2005/12/29, (Thursday) 09:18 PM | comments (0) | trackback (0) |