南伝干満004
 〜 「お気に入り」の私
うえはらゆうき


 ちょうど一年くらい前、インド・コルカタで生活することを決めました。
 そのことをきっかけに、親しい人たちに生活の様子をお伝えできるようにしようと、自分たちのウェブサイトを持つことにしました。時々に考えたことや、道々でとったスケッチなどを公開しています。

 そのくらいの気持ちで始めたのですが、思いのほか楽しんで下さる方もいらっしゃるようで、「『お気に入り』に入れました」と言われることがあります。嬉しいなと、素直に思います。どうもありがとうございます。

 ですが、ふと気付いたのです。「『お気に入り』に入れる」というのは、それはコンピュータ操作上の、いわば手続きであって、「好きです、よく見ています」ということではないよな、と。言われた側としても、喜ばしいことなのかどうか、本当のところは判別つかないはずなのです。
 こんな風に、成立し得ないはずの暗黙の了解で流れていることが、日々、他の場面でもあるのじゃないかしら。

 自分を振り返ってみて、ぞっとしました。例えば自分が思ったこととは違うように伝わっていたり、その結果、無意味に人を傷つけたこともあったように思い出されます。「言い放つ」ということは、「伝える」こととは違いますよね。

 自分の思っていることくらいは、その一部分しか表れないとしても、なるべく正確に伝えたいなと思います。そのように、気をつけて暮らしたいと思います。


2008年1月12日


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