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新しい空間
 「新しい空間」という言葉があります。

 僕も端くれとは言え建築学生であったため、授業や議論の場でこの言葉を幾度も聞きつけました。ですがその当時から、なんとなく違和感を持っていました。
 それはきっと、「新しい空間」とは何か、ということが語られ、議論されていたからではないかと思います。いまになって振り返ると、「新しい空間」とはどのようにして現れるか、という話であれば、僕にとってしっくりきたのかもしれません。
 学生の頃、新しい気持ちになったとき、新しい空間はそのとき目の前にあるのではないか、とおぼろげながら理想していました。空間についてあれこれ話し合うことはめっきりなくなってしまった現在ですが、こういう言い方はやはりできるのではないかと思います。これは新しい空間によって喚起される気持ちなのか、新しい気持ちが捉える空間なのか、それは分かりませんが。

 いまは、普通、人生が輝くには夢を持つことが大切、ということになっています。
 でも、何かやりたいことがはっきりしている人ほど、そのやりたいことの重要性や正当性を証明することに執着しがちで、それに関わらない人や事柄が全く視野に入らない、ということになりやすいのではないかと思います。また、やりたいことにそぐわなくなると、簡単にそぎ落としたくなりやすいのではないかと思います。その結果、分かりやすくなる反面、何か物足りない。
 分かりやすいモノに出会ったときすっきりした気持ちよりも、インドの魅力がそうであるように、分かりにくいモノに出会ったときのもどかしい感覚の方が、僕にとってはむしろ価値があります。ここに移り住んでからの2年弱を振り返って、そんな風に考えます。

 その2年のほとんどを過ごしたコルカタを歩く中で、僕の目に飛び込んでくる人々は、夢を抱いているようには思えないけど、誰を恨むでもなくのほほんと、矛盾したものはそのままに、「だってそういうもんでしょ」と言っていろんな条件を受け入れていきます。損得にもあまり囚われないように見える彼らは、なんかいい。
 例えば平和を希求するようになるには、戦争や貧困の悲惨さをよく知ってそれに反撥していく道と、ただただ幸せに暮らし、そうでない世界を表現する言葉も知らずにいる道と、少なくとも二つはあると思いますが、コルカタのこれらの人々は、後者に近い感覚で暮らしているのでしょう。新しい気持ちを多く獲得するには、こんな常態でいるのが好都合かもしれません。
 新天地に移ってからもコルカタのことを忘れずに、何か行き詰ったときには思い返せるように、心に留めておこうと思います。

  


 このコーナーを含むなんち屋のウェブサイトは、コルカタでの僕たちの生活の様子を、親族や身近な友人たしにお知らせすることを主目的として開設しました。そのコルカタ生活も、4月1日の夜中にインドを出国し、とうとうおしまいです。またコルカタを訪れることがあると思いますが、いつになることでしょう。
 さてここで、ウェブサイトの運営を停止します。別のコーナーでは今後公開を予定しているものがいくつかありますが、このコーナーはこの記事で最後です。
 思いのほかいろんな方がご覧になって下さっていたようで、感想や意見を寄せていただいたときには、素直に嬉しかったです。また、我が家に集って下さった皆さんとの交流は、かけがえのない経験です。本当にありがとうございました。今後は夏ごろまでに愛媛県の明浜というところに拠点を移し、新しい生活をスタートします。とても素敵なところなので、ぜひ遊びに来てください。

それでは
| ちょっと | comments (4) | trackback (0) |
あらあら、さみしいね。
でもみんなが帰ってくるの、嬉しいな!
もうそろそろ着いているね。
落ち着いたら会いましょうね。
楽しみにしています!!
| みち | URL | 2009/04/02 11:52 AM | 7Sl8pTaM |

kayoさん
コメントどうもありがとうございます。お久しぶりですね。現在はどちらですか? 先日メールをお送りしたとき、返ってきてしまったのでどうしたものかと思っていました。連絡いただけてよかった。
「生成する空間ゼミ」なんて、いろんな切り口があって面白そうだなぁ。そんなゼミを立ち上げていたなんて、全然知りませんでした。いつでも構いませんので、続き送ってくださいな。まず「間(あいだ)」について、勉強しなくちゃ。
| なんち屋(ゆ) | URL | 2009/04/02 08:01 AM | XVvmu2d6 |

尻切れになってしまいました。落ち着いたら連絡ください。続きを書きます(笑)。
| kayo | URL | 2009/04/02 05:08 AM | dUSsqWdI |

(ゆ)さん、(わ)さん、(う)さん、道中御気をつけて帰国ください。「新しい空間」の話。もう、(ゆ)さんがいなくなった後だったかもしれないけど、私は「生成する空間ゼミ」というのをG研究室内で立ち上げてたんです。ほとんどの人に「何それ」って言われていましたが、私には空間は「ある」ものではなく「うまれる成るもの」ものとしか思えませんでしたから、他人の不理解には苦しみました(笑)。空間に当たる英語のSPACE、語源はラテン語のSPATIUM。意味はinterval of distance (area or time)、つまり「間(あいだ)」。量子力学の世界では、時間/空間は究極的には同じものという結論にいたっていますが、古代の人たちはそんなこと、はるか昔に知っていたんだよね。SPACEには宇宙という意味もありますが、漢和辞典では宇はspace
| kayo | URL | 2009/04/02 05:02 AM | dUSsqWdI |











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