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講演に行きました

 宮崎大学のホームページを何気に見ていたら、「宮崎の豊かな自然と幸を考える」と題した講演会がある事を知りました。

 釣りに行ってもあまり釣れそうにないので、先週末の2月11日にちょっと興味があったので、行ってきました。

 講演の一部の概要と、ちょっとだけ感想を書いて置きます。{:rn:}


「宮崎の魚介類のゆりかご『藻場』について」

宮崎の藻場の種類は主に3種類あるそうです。
1.クロメ場(コンブの仲間のクロメが茂っている場所)
2.ガラモ場(ホンダワラの仲間が茂っている)
3.アマモ場(海草であるアマモなどが作っている群落)

この藻場の役割は主に

1.魚などの住家
 藻場そのものが、小魚やエビなどの隠れ家になる。 ちぎれた藻が、流藻になり小魚などがそれに着く。(ブリの幼魚であるモジャコなどがそうですね。)

2.産卵場所
 アオリイカ、その他魚の産卵場所としての機能。

3.餌となる
 藻や海草そのものが、海の生物の餌となる。例えばアワビ、ウニはクロメを好んで食べるそうです。またシラヒゲウニはアマモを食べるそうです。

減少しつつある藻場

こうした、海のゆりかごとも言える藻場が今、宮崎の海でも、無くなってきているそうです。(磯焼けというそうです)
地球温暖化による海水温の上昇。海水の濁りによる光量の不足。乱獲による生態系のバランスの崩れなどが考えられるそうです。

 クロメは、宮崎では北部地方に分布しているが、水温の高い水産試験場の水槽や、県南の海に移植しても生育するそうです。(籠などで保護し、魚などに食害されないようにしなければならないようですが)(確か最近の宮崎日日新聞にもこれに関連する記事が載っていました。)

 と言うことは、水温や栄養、光量だけの問題だけではない事が推測されます。もっと環境に対する理解が必要になる。と言うことでした。

 門川沖のクロメ場は、秋からアイゴなどの魚に食われて無くなる、しかし、クロメはアイゴに食べられる前に、胞子を放出し、アイゴに食べられ日当たりの良くなった場所で、その子孫が成長するそうです。クロメとアイゴは、うまくバランスをとってお互い海の中で生活していると言うことです。

 実際は、クロメ、アイゴだけの関係だけでなくその他の生物とも複雑にバランスをとっていると言うことでした。

藻場の管理

水産試験場では、藻などを生産、育苗し造成藻場や栽培を行い、食用やウニの餌に利用して行こうとしているそうです。

生産・種苗→造成藻場→食用・ウニの餌
  ↓                ↑
  栽培→→→→→→→→→→

 このように、藻場を保護していく為には、複雑な生態系や、環境への理解が必要な事が良く分かりました。減少しつつある藻場ですが、生物同士の微妙なバランスで成り立っている事がよくわかりました。

 釣り人の私としては、藻場の再生がなされ、魚が増える事を願うばかりです。

 釣り場に向かう時に時々通る水産試験場ですが、どんな事が行われているのかは、なかなか一般人にはわかりません。このような講演がこれからも継続して行われる事を期待します。








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「大淀川と魚達」

 淡水魚を生活する場所によってグループ分けをすると純淡水魚(一生淡水で過ごすもの)、通し回遊魚(海水と淡水を行き来するもの、本来のヤマメやヨシノボリなど)、周縁性淡水魚(本来は海の魚で、汽水域や淡水域に入ってくるもの、スズキやアカメ)に分けられるそうです。その内、純淡水魚は約25%、残りは海とつながりのある魚だそうです。

 大淀川流域の魚類は90種ぐらい確認されているそうです。その中にはアカメやアリアケギバチ、トビハゼ、アユカケなど特定希少野生動物種指定されているものも結構ありました。

 河口域、ダム下流域、ダム上流域と大淀川を大きく3つに分けると、河口域が魚の種が一番多く約70種、そして上流に行くほど種が少なくなり、ダム上流域では10種程度しかいないそうです。

 これは、ダムや堰堤などによる河川の分断化で、本来ならもっと上流に遡るはずの魚が、河川の横断構造物によって上流に上れない為ではないかと推測されているそうです。

 その他に川魚にとって懸念される点は、水質の維持管理、生活場所の構造の多様性が必要である(三面護岸など)、人的放流による伝染病(最近では、コイヘルペスが話題になりました。)、外来魚による生態系の撹乱などがあるようです。

 アカメについてもお話がありました。現在大淀川流域で、アカメ稚魚が生活出来るコアマモがあるのは、赤江のタンポリのみだそうです。以前は、今の宮崎港に一ツ葉の入り江があったのですが、今は港となってなっています。

 赤江のタンポリは、私も仕事帰りなどに時々釣りに行ってました。確かに、干潮の時に出来る浅瀬には、アマモがあるのは知っていました。しかし、私が見る限り、アマモは一面に茂っている状態ではないように思いました。目に見えない部分はどうなっているのかは分かりませんが・・・。大淀川では、将来アカメの稚魚が育たない環境になってしまうのかも知れません。

 その他、絶滅してしまったと考えられていたアリアケギバチが30年振りに発見されたというお話も興味をそそられました。もともとこの魚は、東シナ海側に生息していたと考えられているそうです。太平洋側の宮崎で生息しているのは、昔、大淀川が、熊本県側の川と繋がってたからだと考えられているそうです。

 身近な大淀川にも、色々な希少な魚類がいる事を知りました。宮崎の河口部でよく見られるトビハゼなども特定希少生物になっているのは驚きでした。やはりダムや堰堤の河川の分断化は、魚類の分布にも大きく影響を与えているよです。泳力があるアユなどは上れる魚道も、他の泳力のない魚には大きな障害となるようです。

ちなみに、この講演をされた宮崎大学の神田先生は、こんな所にも執筆されています。{:rn:}

「宮崎の干潟に棲む貴重な貝とカニについて」

 宮崎県内の干潟の総面積は、昭和53年には151haあったのが平成5年には42haまで減少したそうです。原因は、公共工事による埋め立て、浚渫などによるものだそうですが、なんと70%の浅海が壊滅的打撃を受けたそうです。

 宮崎には、県北の櫛津干潟、一ツ瀬川の富田、本城川の河口などありますが、この干潟には、貝類、カニ類など多くの無脊椎動物もくらしています。

 このような場所での無脊椎動物の研究者が、宮崎にはいなかったそうで、以外な所で新種のカニが発見されたり、絶滅、もしくは絶滅危惧種とされている種がたくさん確認されたりしているそうです。

 特に驚いたのは、私もよく釣りに行っていた、宮崎港の一部にある一ツ葉入り江の湾奥にあたる部分が少しだけ残っているのですが、ここには、WWFJ の報告で、絶滅に近いと言われていたムラサキガイ、カニノテムシロなどが多数生息していたそうです。

 ここの干潟は、元々は人工的に作られたそうですが、工事によって淡水が流れ込む河川がなくなり、たくさんいたシジミは全くいなくなりました。そして大きな港が出来、湾奥の一角だけがそのまま残っているのですが、こんな所に貴重な生物が生息していたなんて、驚きでした。

 カニは、干潟の泥を食べ、その中の有機物を摂取するのですが、一ツ葉入り江に居るカニが、人間の64人分の有機物処理能力があるそうです。

 しかし、松枯れの予防の為の殺虫剤の空中散布などによって、被害なども出ているようです。

 県内にはこれ以外の小規模な干潟がまだまだたくさんあります。私もよく小物釣りで干潟に行く事が多いのですが、あまり有名では無い身近な小さな干潟にも、まだ知られていない貴重な生物が生息しているかもしれません。


 海の藻場、汽水域に広がる干潟は魚だけではなく、他の生物にとっても貴重な場所である事は事実です。しかし、こういった海の生物にとって重要な場所が、人間の経済活動などによって、どんどんと破滅の道をたどって行くのは悲しい事です。

 生態系や環境の問題はあまりにも広大で、しかもゆっくりと進行しています。普通の生活をしていると認識出来る問題ではないと思います。

 色々と考えさせられる講演内容でありました。

 この講演とは関係ありませんが、宮崎の絶滅危惧種はどのくらいあるのか気になり、ちょっと調べて見ました。「宮崎の環境」 というホームページに宮崎県版レッドデーターブックが載っていました。







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| http://doratomo.jp/~flyfishing-shiki/note/index.php?e=46 |
| その他 | 2006/02/17, (Friday) 06:35 PM | comments (0) | trackback (0) |