最初に
今回は、私が海の小物釣りでよく使用するポッパーをご紹介します。
私はポッパーと言えば、まず思い浮かぶのはバスやギル用のフライなのですが、海の対象魚に対しても非常に有効なフライのひとつです。
音でアピールするパターンが少ないフライの中で、このポッパーはフライを引く時に起こるポップ音と水飛沫。水面に追い上げられた小魚を演出するにはもってこいのパターンのように思います。
海では、エバ、スズキ、コトヒキなど、ほとんどのフィッシュイーターの対象魚に有効なパターンで、特に活性が高い時ほど面白い釣りが出来ると思います。
水面に浮かぶこのフライは、魚の捕食の瞬間が視覚でも楽しめ、魚も釣り人もエキサイトするという釣りが楽しめます。
このポッパーの特徴は、ヘッドを円筒形の発砲素材を使いる事で、フライがとても軽く仕上がります。また、発砲素材はバルサ材などの木材とは違い、ほとんど吸水しないので防水の為の塗装をしなくてもそのまま使用する事もできます。
そしてテールをポッパーヘッドに直接取り付ける事で、フックシャンクにテール材が絡むトラブルが極端に減らす事ができました。
材料

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発砲素材
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TMC511S
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ポッパーは、ヘッドになる部分を作成さえすれば、タイイングは本当に簡単です。
ヘッドの材料になるのは、コルク材、バルサ材などの木材。浮きなどの材料となる発砲素材など、水に浮き、加工しやすく、そして軽いものならどんな素材でも構わないと思います。
市販のヘッドもいいのですが、私にとってはちょっと高価なので最近は比較的安く、加工しやすい発砲素材を使用しています。
今回使用した材料は下記のとおりです。
1. |
フック |
: TMC511S サイズ#6 |
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ヘッド部 |
: 発砲素材 直径10mm前後の棒状のもの |
3. |
テール材 |
: バックテールなど |
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水性ラッカー |
: 好みの色、クリヤー |
5. |
その他 |
: エポキシ樹脂接着材 |
手順
- ポッパーヘッドの作成
- フックの大きさに合わせて、カットする長さを決める。鉛筆などでカットする線を引いておく。この時、はがきぐらいの厚さの紙を巻きつけ、ガイドとして使うと曲面にでもきれいに線が引けます。(図1)
長い棒状のまま、カッターナイフなどで大まかな形を削り出します。この方が加工しやすいからです。(図2)
- ある程度形が決まったら、80〜100番ぐらいのサンドペーパーで滑らかになるまで削ります。更に目の細かい500番ぐらいのサンドペーパーで仕上げを行います。(図3)
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1.カットする線を引く |
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2.カッターで粗削り |
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3.サンドペーパーで仕上げ |
表面が滑らかになったら、鉛筆の線に沿ってカッターの刃を入れ、切り離します。この時、重要なのは、ポッパーヘッドの中心線に対して、切断面が左右に偏りが無いようにカットする事です。斜めになると、リトリーブの際に左右どちらかに曲がるポッパーになってしまいます。
カット面の微調整が必要になった時は、サンドペーパー修正しておきます。カット面は、平らのままでもいいのですが、彫刻刀などで少しくぼみを付けると水飛沫、ポップ音ともに大きくなります。(図6)
ヘッドの中心線に沿って、カッターでフックシャンクを埋め込む溝を作る。(図7)
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4.整形の仕上がり |
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6.窪みを付ける |
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7.溝を彫る |
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8.ヘッドの完成 |
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- テール材を付ける
- 普通ポッパーはフックシャンクにテール材を巻きとめます。今回はヘッド部に直接テール材を付けます。
自作浮き用の発砲素材は、中心部分に穴が開いていました。この穴を利用してテール材を差込みました。穴の空いていない素材を使用する場合は、ニードルやドリルなどで小さな穴を開けます。穴は、テールからヘッドの方向へ貫通させて置きます。
この穴に、二つ折りにしたモノフィラメントのラインをテール側から差込みます。(図9)
テール材になるバックテールをスタッカーで毛先を揃え、根元部分にヘッドセメントなどの接着剤を塗ります。そしてバックテールを差し込んだラインの輪の部分に挟みます。(図10)
テール部分からラインを引き、ヘッド部分にテール材を引き込みます。テールの長さを調整して、ラインの片方を引き抜きます。(図11)
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9.ヘッドの穴にラインを通す |
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10.輪にテール材を通す |
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11.ラインを引く |
- ヘッドを取り付ける
- フックシャンクにスレッドで下巻きしておきます。テールを付けたヘッドをエポキシ接着剤でフックシャンクに取り付けます。(図.12、13)
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12.下巻きをする |
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13.ヘッドを接着する |
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- ヘッド部に着色する
- 今回使用したヘッドの材料は、発砲素材なので、塗装しなくてもそのまま使用出来ます。バルサ材やコルク材など吸水する素材には、必ず塗装し防水します。
私は、水性のエナメル塗料を筆で塗装しています。水性塗料は、専用の薄め液の必要もなく、使用後の筆なども水で洗い流す事もできるので、手軽に使用できます。完全に乾燥すれば水に溶ける事もありません。
ヘッド部に好みの色を筆で薄く塗ります。完全に乾燥してから500番以上のサンドペーパで軽く磨き、重ね塗りをします。数回この工程を繰り返します。
その後、目になる部分を入れます。ラッカーなどで目を入れる場合は、太さの違う丸い棒を2種類準備し、断面を平に切り、塗料をその先に少量付け、印を押す要領で目を描きます。今回は、キラキラ光るカッティングシートをポンチで丸く抜いて貼り付け、黒目だけを描きました。
目を入れた後にクリアーで塗装し、完成です。
塗装のコツは、1度に厚く塗るよりも、薄く数回に分けて塗る事、そしてなるべく乾燥した部屋で塗るといいでしょう。重ね塗りをする時は、下に塗った塗料が完全に乾燥してから行います。
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14.パールホワイトを塗る |
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15.マスキングしレッドを塗る |
その他
TMC511Sなどのポッパー用のフックは、ヘッドがずれにくいようにシャンクを曲げています。
普通のフックでポッパーを作る時には、下の写真のように細いワイヤーなどをΩ状に曲げスレッドでシャンクの真上に巻き止め、瞬間接着剤で固定します。
これがあるのとないのでは、ポッパーの強度は全く違います。
ちなみに、写真のワイヤーは石鯛のハリスに使うものを使用しました。
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