海の小物釣り |
1.はじめに |
海のフライフィッシングは、ルアーなどと比べあまり釣れないとか、遠投できないから無理だとか考えていませんか? そんな事決してありません。海のフライのなかで、小物釣りこそフライフィッシング得意技です。 今回は、海のフライフィッシングの中でも気軽に狙える小物を対象とした釣リをご紹介したいと思います。
この釣りの特徴として、大勢の仲間でワイワイと楽しく釣りができるのも楽しみのひとつであります。うまく魚の群れに当たれば、入れ食い状態も楽しめます。 気のあった仲間と海の小物釣りはいかがでしょうか? |
2.対象魚 | ||||||
宮崎周辺の小物釣りの対象魚は、数多くいます。そのなかで、比較的気軽で良く釣れる対象魚を数種類ご紹介します。
ヒラアジ類の幼魚を、宮崎ではエバと呼んでいます。南の海から回遊してくるらしいのですが、今までは、冬の寒さで死んでしまう、死滅回遊と言われていました。しかし、最近では、冬の海水温が高い為なのか、冬でも宮崎近海で越冬しているようです。
宮崎でも、50p以上の本土サイズとしては大型の魚も釣れているようですが、普通フライで良く釣れるは、20p前後の小型のものがほとんどです。 時期は、宮崎では厳寒期をのぞいてほぼ一年間狙う事が出来ます。 特に梅雨頃から晩秋にかけてが良く釣れる時期だと思います。 釣り場は、河川の汽水域〜河口、港、砂浜、磯場など大抵の場所で釣る事が出来ます。大きな群れが回ってきた時は、入れ食い状態が続き楽しい釣りが出来るでしょう。
セイゴは、スズキの幼魚の名前です。 特に河口域でよく釣れる魚です。小さい魚ほど群れで行動しているようで、大抵は数釣りが楽しめる対象魚です。 引きは、エバに比べ劣りますが、小さくてもエラ洗いをしてくれます。その他、浜や港湾などあらゆるところで釣れます。ほぼ周年狙える魚です。 ヒラセイゴは、主に磯やその周辺の砂浜でよく見かける魚です。 親魚のヒラスズキはあまり汽水域まで回遊してきませんが、ヒラセイゴは結構汽水域まで入って来て、積極的に餌をあさっているようです。
底が、砂地や泥のところが好きなようで、河口の汽水域や砂浜などで良く見かける魚です。その他、夏場の磯にも群れでいることが良くあります。 大きさの割には引きが強い魚です。 同サイズのヤマメと比較するとはるかにコトヒキの方が引きは強いです。20pまでの小型のものが良く釣れます。 30pを越えるサイズになると、6番タックルでラインを引き出すファイトを見せてくれます。釣れるとグーグーと鳴きます。温暖系の魚である為、夏から秋にかけての釣りがメインです。
魚食性の強い魚であれば大抵フライで釣ることが出来ると思います。砂地の場所では、ヒラメ、マゴチなど、河口では、チヌ、ゴマフエダイなど。港などでは、ダツ、カマス、太刀魚、サバ、カンパチの子供など数えれば相当な種類の魚が釣れています。 |
3.小物釣りにいい時期は? |
周年釣れる魚もありますので、ほぼ一年を通して釣りになると思いますが、良く釣れる時期は、春から晩秋にかけてが一番良い時期だと思います。 海の小物釣りで、一番釣り辛い時期は厳寒期の2月前後が一番釣れない時期のようです。 この時期は、河口域にもたくさんの魚が入ってきます。砂浜も波打ち際にはエバやコトヒキの小物がたくさんの魚が接岸します。 |
4、タックルについて |
私の海の小物用ロッドは、9フィート6番が標準です。 なぜ6番ロッドなのかと言いますと、まずシンキングラインの種類が5番以下のものより豊富であること、そして多少の強風でも何とかキャストが出来るからです。 お勧めの番手は5番から7番ぐらいがいいのではないかと思います。ロッドの調子は、個人の好みでいいと思いますが、先調子の方が風にも強く、使い勝手がいいかも知れません。また魚の引きがダイレクトに手元に伝わり面白いと思います。
フライラインとバッキングラインを巻けるリールがあればどんなリールでも構わないと思います。ただし、リールを長く使いたいなら、潮に強いものがお勧めです。
フライラインは、WFラインもしくは、STラインにランニングラインがいいでしょう。ポイントの水深や、魚のいる層によってフローティングからタイプWまでを使いわけます。 最初のラインは、フローティングもしくはタイプTがいいかと思います。夏場のエバは、比較的表層や浅い所で釣れます。コトヒキなどは、岸沿いの浅瀬でボラの幼魚などの小魚を追いかけていることが多いのです。 WFのシンキングラインで、ラインを沈めて使用する時、注意しなければならない点がひとつあります。それは、フライラインの太い部分が一番沈むという事です。 特に、河口部などの掛け上がりを沈めて使う時にフライを底近くまで沈めようとすると、フライが底に付くまでに手前のラインが先に底に付き、キャストする度に根掛りをしてしまいます。 シンクティップライン(先の方が比重が重いライン)やシューティングヘッドを使う場合にランニングラインをフローティングにするなどで、ある程度回避は出来ます。 逆に、港などの比較的水深のある場所で、魚の泳層が深い場合は、WFのシンキングラインの方が有利な時があります。足元近くまで一定の層を保つことができます。
フライは、小型のストリーマーを中心にクレージーチャーリーなどの小型のシュリンプパターンを揃えておけばいいと思います。 また、フローティングラインを使用するのであれば、ポッパーの釣りも面白いでしょう。特にエバを狙う場合は、魚が激しくフライを追ってくるのが分かりますので視覚的にも楽しめると思います。 次にフライのフックサイズですが、エバ、セイゴなどをメインで狙うなら、8番から2番ぐらいでしょうか。魚の活性や大きさによっても変わってきます。 その他、コトヒキなどは、ヤマメ釣りで使うニンフフライ、カディスなどもかなり効果的です。小型のコトヒキにはヤマメ釣りで使うフライ(サイズ#14〜10ぐらい)をそのまま使えます。 |
5.ポイントおよび釣り方 |
フライの小物釣りで、最初に狙いたいのは浅い場所です。特にコトヒキなどは、くるぶしぐらいの水深の場所にもたくさん群れています。静かな浅場では、フライを振るだけで魚が逃げてしまうこともあります。浅場では魚も神経質になっているので慎重に狙うことが重要です。
河口は、汽水域を中心に釣りをします。汽水域は、対象魚の餌となる小魚や、エビ、ゴカイなどが多く、小物釣りには一番よいポイントといえます。エバ、セイゴなどは、掛け上がりを中心に狙います。 また、小魚がボイルしているのが見られることがあります。こういう所は、魚食性の魚がいる可能性が大きく、いいポイントとなります。河口の浅瀬には、ボラの子供が群れていることが多いのですが、こういう所は、コトヒキの子供が多く群れていることがあります。 フローティングラインで小さめのストリーマーやニンフ、カディスを引くといいでしょう。浅瀬の魚は警戒心が強いため、なるべく離れてキャストし、フォルスキャストを少なく、静かにラインを着水させることが重要になります。
浜では、以外と岸近くを対象魚が回遊していることも多いです。ですから不用意に立ちこまず、なるべく波打ち際までフライをリトリーブすることが肝心です。 浜は、一見単調に見えますが、小さな流れ込みや、砂が溜まった浅瀬、離岸流など変化に富んでいます。こういった変化のあるところに魚が付いていることも多いです。
釣り方は、いたって簡単です。キャストし、ラインをスー、スーとリトリーブするだけです。リトリーブの速さは対象魚によっても若干変わってきますし、同じ対象魚によっても、その日の活性によりベストな状態が変わってきます。その日のパターンを早く見つけることが釣果に結びつくと思います。 浅瀬を狙う時は、なるべく遠くから狙います。岸沿いの浅瀬を狙う時は、可能であれば対岸から狙うのがベストでしょう。 最初は、魚の付いていそうな場所を少しずつ移動しながら探って行きます。ある程度釣れるようになれば同じような場所を狙えば効率よく釣れるようになってくると思います。 水面の変化にも気をつけてみてください。エバやコトヒキなどが、小魚を追いかけているかも知れません。このような時は、水面が波立ち、小魚が逃げているのが見えることがあります。 魚の進行方向と思われるところにフライをキャストします。このような時は、魚の活性も高く比較的簡単に釣れることが多いです。(なかにはなかなか釣れないこともありますが・・・。) |
6.最後に |
海の小物は、大型魚に比べ個体数も多く、比較的簡単に楽しめる釣りだと思います。河口などの比較的穏やかな安全な場所で十分に楽しめると思います。ただし、河口部や港などは他の釣り人も多くなります。 特に子供連れなどで賑わう釣り場では、トラブルを避ける為、フライフィッシングは控えたほうがいいのではと思います。 フライキャスティングは、他の釣りよりも後ろに多くのスペースが必要です。海でフライフィッシングをされる人は随分増えました。しかし、まだまだ少数派です。物珍しい釣りをしていると後ろから釣りを見に来る人がいます。 バックキャストは十分注意してください。もし、釣り場でトラブルがあると、楽しいはずの釣りが台無しになってしまいます。他の人がいる所では必ず後ろを確認してキャストをする癖をつけることが大事だと思います。 |