『蛸と海女』は、鉄棒ぬらぬら(葛飾北斎)による 文化11(1814)年 の艶本(春画)『喜能会之故真通』(きのえのこまつこ・全三巻) 中の一場面である。 なお、「蛸と海女」は通称であり、原本にそのような題は記されていない。 女性(海女)が2匹のタコに捕らえられ、性的快楽を受けるさまを描いている。 小蛸の方からは口吸い(接吻)を受け、大蛸は彼女にクンニリングスしている。 この画のように、背景が喘ぎ声や局部からでる音等、詞書で満たされているのが本書の特徴である。 なお、先行する類似作品として、 北尾重政の艶本『謡曲色番組』や勝川春潮の艶本『艶本千夜多女志』などが知られており、 北斎がこれらを参考にした可能性が考えられる。