| 秋祭りの踊り 〜美幸ばあちゃんの話 その１ |
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上原若菜 |
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9月中旬ごろになったら、もう、お祭り一色。 小さい時踊ったのは5つからじゃった。数えの5歳。私、昭和11年の生まれやけんど、今もまだ、踊り覚えちょる。歌も全部。し易いことよ。し易い踊り習うたんやけんな。そこん家とあこの家のお嫁さん、（お嫁に来る）前からご近所やったけん、その3人がな、一緒に踊ったんよ。 |
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私ら「御舟組（おふねぐみ）」ゆうのに所属しちょる。お祭りの練りは全部、門之脇（かどのわき）青年団が担当なんよ。大変なんよ。朝が3時になったらな、踊り子さんの家行って、「起きたかなー？ 起きたかなー？」って言うて、一軒一軒回るのよ。そしたらその家の者は本当、よう寝とらんわな。それまでに風呂を沸かして、薪で沸かして。お風呂に入れてもらうんよ。そしたらご飯食べて。そしてお母さんが、炊事の傍らお化粧してくれるのよ。もう今頃は美容師さんのとこ行ってきれいに出来上がって帰るような子も多いんよ。ほやけどその当時は全部母親の仕事で。 そして朝の5時よ。地区の端から御舟がぺんぺんしゃんしゃんして。今もずーっとそれ、守りよるんよ。そがいせんと、夕方の時間がずれて間に合わんけん。伝統。統制されてきちーっとな。 |
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踊り子さんは、今は5人か6人になってしもうたけんど、当時は少なくて15人。多くて18人。5つのときから小学校六年生までしたけんど、本当に、もう嬉しゅうて嬉しゅうてな。忘れない、踊ったり、習ったり。そいで高校卒業してから青年団に入って、まだ3年くらい（御舟組に）おった。 その頃は、狩江にお師匠さんおらなんだけん、吉田とか宇和島とか宇和町から、青年団が雇い行って、高いお金をな、出して雇うんよ。青年団が雇うんでなくて、地区が雇う。ほやけん、あのとき習うちょったらな、お金いらずとな、もう何年といい踊り習いよる。 昔はヤド（宿）ゆうんがあってな、お師匠さんはヤドに泊まり込むの。子どもは自分かたからやけんどな、そいで一週間よ、そのお師匠さん雇うて。もう踊ったら、踊りだけよな。もう一年中で一番、楽しい。 前は10月25日がお祭りやったけん、21日がリハーサルやった。今で言うリハーサル。昔は「衣装付け」言いよった。今の子たちはな、もう10月に入ると（稽古）やって。今はお師匠さんが狩江にできちょるけんど、１ヶ月はせんけどな、毎日しよる。 そして9月10日くらいになると踊り子さんを雇い来てもらうんよ、青年団に。「今日来た？ 今日来た？」言うちゃな。もう来てもらいたいけん、学校からいぬると毎日な、九月も終わり頃になると毎日問うんよ。それで「今日来たぞ」言うと、「わぁーっ！」言っちゃ。そう、あんたな、昔は子ども大分おったけんな。たくさんおった時代の話やけん。 |
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特にその頃はな、誰でもいうわけにはいかん役はその、一番位が高い、巫女の舞。巫女さんはな、どがいまちの子いうわけにはいかなんだよ。やっぱ、昔からの旧家とか、あんなな、お金があるとか感じの。 踊り子は違うんで。ほとんど大概な、雇うてもろうてた。巫女の舞はやっぱり、位が高いけん。神様のな、一番のお供。不公平やけどな、今考えたらな。そがい言うほど、人間がおったのよ。どがいまちの家の子はあんまりな。そやけん、私は興味ないが。姉がした。私はもういや。ついなことばっかり繰り返すじゃろ。そしてな、踊りが終わって、最後のお辞儀をするのをな、お師匠さんがステージの、舞台の横からこう見よらい？ そしたらお師匠さんの方向いてお辞儀した記憶あるんよ。皆の方にな、観客の方でなく。あっはっはっは |
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♪--- そんでここから女になる、 ♪--- って回るんよ。ほいで、 ♪--- な。 | |||
この文章は、2009年9月15日、上原若菜による美幸ばあちゃんへのインタビューの録音を元に、読みやすくまとめなおしたものです。 方言などの言葉遣いを修正したものはこちらからご覧になれます。 |
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